「鬼の住処」で地獄から天国…将棋の山崎隆之八段の道のり

「鬼の住処」で地獄から天国…将棋の山崎隆之八段の道のり
「鬼の住処」で地獄から天国…将棋の山崎隆之八段の道のり
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 関西を代表する実力派の人気棋士、山崎隆之八段(40)が、順位戦A級への昇級を決めた。A級は上位の10人しか在籍できないトップ棋士の証しだ。前期は降級のピンチに立たされただけに、「しっかり戦って落ちてやる」と覚悟を決めて臨んだ今期。「昇級争いに加われたこと自体がうれしい誤算。A級で互角に戦えるよう、さらに力をつけたい」と意気込む。 

(中島高幸)

大勝負で奇策

 2月4日、大阪市福島区の関西将棋会館。単独首位の9勝1敗で迎えたB級1組12回戦で、勝てば最終13回戦を待たずに悲願のA級昇級だ。相手は王将などタイトル獲得7期のベテラン久保利明九段(45)。

 山崎八段は独創的な棋風で知られる。午前10時に対局が始まると、先手で端歩を突くという策に出た。「戦型選択に迷い、直前に思いつきました。大勝負なので、萎縮してしまう怖さもあって…」。後手の久保九段も端歩を突いて応じ、プロ同士の対局では珍しい出だしとなった。

 苦しい中でチャンスも訪れた。勝ちの可能性が高いと思われる手順を見つけた。「踏み込まなければいけなかったが、踏み込んだ後に粘られる手順もみえた」。残り時間を正確に把握しておらず、焦りもあったか。「負けにくい手を、と思ったら悪手を指してしまった」。5日午前0時18分、投了した。

 コートを着て帰ろうと関西将棋会館の階段を下りていたところ、A級に昇級したと知らされた。競争相手の郷田真隆九段(49)が敗れ、最終13回戦を待たずに昇級が決まった。

降級のピンチ

 B級1組は、A級に引けを取らない実力者が多いことから、「鬼の住処(すみか)」と呼ばれる。山崎八段はB級1組に13期在籍。これまでも昇級の機会は訪れたが、昨年の前期はB級2組への降級のピンチを迎えた。

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