ARヘッドセットの不振で苦境のマジックリープ、新CEOが語る再生への道筋

携帯電話のような進化が進む

ジョンソンは依然として、マジックリープのことを最終的には消費者向けのプロダクトとみなしている。長期予測は楽観的だ。ニュースリリース配信のビジネスワイヤによる20年11月の調査では、世界のARおよびVR市場が19年の370億ドル(約4兆円)から30年には1兆2%2C744億ドル(約136兆円)にまで成長すると予想されている。

「この市場の動きは携帯電話と非常によく似ています。当初は非常に大きな電話を持ち歩いていましたよね。それが最先端だったことも、いまでは笑ってしまいます」と、ジョンソンは振り返る。「当時の電話はポケットに入りませんでしたが、外出するときに電話をかけることはできました。それこそが現在のARの立ち位置なのです」

「コロナ禍においては、さらに価値があると思います」と、ジョンソンは付け加える。「頻繁に飛行機に乗る生活には戻らないでしょうから、おそらくバーチャル会議がさらに増えますよね」

またジョンソンは、ARの技術に対する需要が高まるにつれて価格が下がり、サイズも小さくなるだろうと語る。「携帯電話では半導体技術の進歩によって、すべてのチップをひとつのシステムに統合できたことが大きなブレイクスルーになりました。今後はARの分野でも、こうした統合がさらに進むことになるでしょう。それこそわたしたちが目指すことなのです」

「マジックリープは必ず再生する」

これは楽観的な展望である。しかし短期的には、現実ははるかに複雑になる可能性がある。

「消費者向けARヘッドセットの市場は、現状ではほとんどありません」と、Omdiaのジジアシビリは説明する。「変化をもたらせる唯一の企業はアップルです。アップルがこの分野で何かに取り組んでいるという噂がありますが、それも確かなものではありません」

こうしたなかジョンソンは、「市場の動きについては本体のサイズによるところが大きいと思います」と、自信をもって言う。そして、次のように語る。

「同じような現象は携帯電話でも見られました。携帯電話の小型化が進んだあと、アップルは『App Store』を発表しました。そしてまったく新しいエコシステムを備えた新たなものをつくり上げたのです。わたしたちの視界は現在も良好です。『Magic Leap 1』は演算部を分離してウエストバンドやベルトに装着可能にすることで、ヘッドセットの大幅な軽量化に成功しました。AR業界は大衆化のステージに到達しなければならず、そのためには消費電力の削減とバッテリーの軽量化というブレイクスルーが必要です。消費電力が大きければ、ただでさえ重いバッテリーを大きくしなければなりませんよね。これはマジックリープを消費者に届けるための必須項目であり、わたしたちは一歩先を行っています。マジックリープは必ず再生します」

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