ARヘッドセットの不振で苦境のマジックリープ、新CEOが語る再生への道筋

ジョンソンによるとマジックリープは最近、頭部がつながった状態で生まれてきた双子の分離手術にを手がけたカリフォルニア州のUCデイビス・チルドレンズ病院の外科チームに協力した。手術を受けたアビゲイル・バチンスキーとミカエラ・バチンスキーのような双子は、250万回に1回の頻度で誕生するという。

手術を担当した30人の外科医は、マジックリープのヘッドセットを使って双子の頭の内部の血管を詳しく確認した。手術を成功させるには、複雑に張り巡らされた血管同士をほどき、分離させる必要があったからだ。

そして双子が手術室に入る前に、医師たちはヘッドセットで手術の手順をひと通り実行した。「脳外科手術に長けた医師たちを部屋に集め、特殊な手術の手順を3D映像で確認し、練習することができるのです」と、ジョンソンは説明する。

目指すはプラットフォーム企業

マジックリープは現在も、18年に発売された3つのパーツからなるヘッドセット「Magic Leap 1」を販売している。「この第1世代のハードウェアは驚異的です」と、ジョンソンは熱を込めて語る。

「ハンズフリーで処理能力が高く、眼前に広がる視野についても素晴らしい体験を得られます。多くの価値がある、いますぐ活用できるヘッドセットなのです。そして次世代製品では、さらに目への負担が軽くなり、視野が広くなる予定です。わたしたちはこの未来に心を躍らせています」

ただし、外部の識者は慎重だ。「法人向けを含めても、19年の総出荷台数はわずか10万台強でした」と、調査会社Omdiaのシニアアナリストのジョージ・ジジアシビリは語る。

「確かに法人利用はマジックリープにはるかに適していますが、成功が保証されている状況からはほど遠いのです。ARヘッドセットを手がけるグーグルやマイクロソフト、Vuzixは、長年にわたって法人向けの製品に注力しており、マジックリープの競合となるでしょう。ところが実際のところマジックリープは、ヘッドセットを販売するメーカーというよりも、サービスプロバイダーになりたいと考えています。それがマジックリープの真のビジネスモデルなのです」

こうした意見に対してマジックリープのジョンソンは、「わたしたちはプラットフォーム企業です」と同意する。マジックリープはアボビッツ時代の閉鎖的で秘密主義だったビジョンから移行しようとしている。

「市場開拓の面では、ビジネスパートナーがその一部を手助けしてくれるでしょう。わたしには外部パートナーと提携してきた実績があります。現行のデバイスの状況を考えると、大規模な営業チームをつくることはできません。しかし、わたしには法人向け営業チームをもつ提携可能なパートナーがたくさんいるのです。また、APIをサードパーティーのエコシステムに提供することも検討しています。そしてAPIを使って素晴らしいアプリを開発した企業と一緒に仕事をしたいと考えているのです」

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