朝晴れエッセー

ありがとう!そして、頑張って!・3月19日

約1年前、市内の高校のトイレ掃除の仕事をしていた。青いバケツとモップを持ち、大きな校舎の階段や長い廊下を走るように歩く。

幾つもある個室の便器を磨き、トイレの床を拭いていく。暑い日には汗かきの私の汗が、モップで拭いたそばからポタポタ落ちるのでまた拭き直す。洗面台を掃除しながら鏡に映る汗まみれの顔とぺちゃんこになったちぢれ髪に目をそらしたくなる。

チャイムが鳴ると生徒さんたちが並んで順番を待つ。試験や部活、異性の話題が飛び交う。サラサラした美しく長い髪。まぶしい女子高生たち。「お待たせしました」と私の声に「ありがとうございます」と笑顔で返してくれる。

そんなある日。1人の男子高生が「おばさんの名前、何ていうんですか?」と尋ねてくれたので「宮下です」と答えた。すると、次に彼に会うと「宮下さん、頑張って」と少し照れながら言ってくれた。その次には、彼の友達まで私に「宮下さん」と声掛けしてくれてビックリ。

腱鞘炎(けんしょうえん)のため半年になってしまったがやりがいのある仕事だった。感謝の気持ちを込めて校長先生にお手紙を出すとご丁寧なお返事をいただいた。私の拙(つたな)い手紙を朝礼で読んでくださったことが記されていた。

その大好きな高校が、この春の選抜高校野球大会に出場する。

掃除のおばさんの私に、いつも元気いっぱいのさわやかな挨拶をしてくれていた野球部の皆さん、本当におめでとう! お世話になった高校の皆さん、素敵な思い出をありがとう! 私も、もう一度「青春の夢」を追いかけてみます。

宮下さつき 62 東京都あきる野市