浪速風

甲子園に棲む魔物

初日に出場するチームだけが参加した開会式。選抜高校野球が始まった=甲子園球場(林俊志撮影)
初日に出場するチームだけが参加した開会式。選抜高校野球が始まった=甲子園球場(林俊志撮影)

甲子園球場には魔物が棲んでいるという。たぶん、いたずら好きだ。かなり気まぐれでもある。ちょっとした遊び心が、とんでもないドラマを生んだりする。真剣勝負の球児たちには申し訳ないが、そんな筋書きのない物語が高校野球の魅力の一つである

▶第93回選抜大会が開幕した。新型コロナウイルスの影響で昨年は中止だったので、2年ぶりの開催である。感染の収束が見通せない中でも、関西の春の風物詩が復活したのは、喜ばしい。主催者は選手や関係者にPCR検査を行うなど、感染防止を徹底するという。甲子園の魔物にはぜひとも、コロナとは無縁でいてもらいたい

▶智弁和歌山高などを率いた名将の高嶋仁(ひとし)さんに、こんな言葉がある。「苦しい思いをした人間だけが、逆境をチャンスに変える」。コロナ禍で十分に練習できなかった球児たちが、晴れ舞台でどんなプレーを見せるか。苦難を乗り越え、ひたむきに野球に打ち込む姿が、われわれの心を打つ。