次代狙う中2の「魚博士」…本州初記録の標本に論文も執筆

次代狙う中2の「魚博士」…本州初記録の標本に論文も執筆
次代狙う中2の「魚博士」…本州初記録の標本に論文も執筆
その他の写真を見る (1/3枚)

 平成27年に国内で初めて生息が確認された珍しいハタ科の魚「キテンハタ」を、和歌山市内の中学2年の男子生徒が本州最南端の和歌山県串本町で釣り上げた。釣り上げたのは同県立向陽中学校2年、脇本総志君(14)。県立自然博物館の学芸員の間では以前から「魚博士」として知られていた脇本君は、釣り上げたキテンハタを標本にして同館に寄贈し、さらに学芸員と共同で論文も執筆、学術誌に掲載されるなど快挙を成し遂げた。将来の夢は魚の研究者と語る脇本君。第2の「さかなクン」となるか-。(西家尚彦)

 脇本君の父親(48)は、和歌山市中央卸売市場で鮮魚の仲買人。幼いころから父親に連れられ、セリの様子を見学するなどして魚に興味を持つようになった。小学4年からは釣りが趣味となり、釣り上げた魚を図鑑で調べ、イラストも添えてノートに記録していた。隣接する海南市にある県立自然博物館もたびたび訪れ、学芸員に魚について熱心に質問。学芸員の間でも「魚博士」と呼ばれるほど博識で知られていた。

 そんな脇本君が、調査も兼ねて昨年10月24日、串本町の堤防で釣り上げたのがキテンハタだった。

 インド・西太平洋に分布するキテンハタは、国内では平成27年に初めて生息が確認されたばかりの珍しい魚。釣り上げたのは体長約7センチの幼魚だったが、脇本君は「尾びれの上部に鮮やかな斑点が見えて、すぐにキテンハタと確信し、すごいと驚きました」と振り返る。

 翌日、県立自然博物館に持参し、顔なじみの国島大河学芸員(30)に報告。国島学芸員が調べたところ、そもそもキテンハタが国内で珍しく、標本も九州近海でとれた個体に限られていたため、今回釣り上げたキテンハタを標本にすることを提案。脇本君と一緒にエタノール処理するなどして、本州では初めての標本に仕上げた。

会員限定記事会員サービス詳細