【カイロ=佐藤貴生】内戦が続くリビアで暫定の統一内閣が成立した。戦闘を展開してきた国内の主要2勢力も発足した内閣を支持する意向を示しており、2011年のカダフィ政権崩壊に端を発する内戦の収束への期待も出ている。ただ、産油国リビアの内戦には周辺国も関与し、国内にはなお約2万人の外国人民兵らがいるとされ、不透明な要素も残っている。
ロイター通信などによると、暫定内閣を率いるアブドルハミド・デイバ暫定首相は15日、「公正かつ誠実に職務に当たる」と就任宣誓した。
内戦は西部の首都トリポリの暫定政権側と、東部の有力軍事組織「リビア国民軍」(LNA)が戦ってきた。暫定政権はトルコが、LNAはロシアやエジプトなどが支援してきたが、双方は昨年10月、国連主導の協議で停戦に合意。新たに発足したデイバ暫定内閣は今年12月の総選挙実施までの任期を担う。
暫定内閣には国民和解や国家予算の一本化、内戦で疲弊したインフラ復旧など問題が山積している。中でも外国軍部隊の撤収は大きな課題となりそうだ。
エジプトのシンクタンク、アハラム政治戦略研究センターのカメル・アブドラ氏(37)は、リビアにはトルコやロシアの雇い兵のほか、シリアやスーダン、チャド、マリなどの戦闘員が割拠しているとし、「国連や欧米が介入しなければ問題は解決できない」との見方を示した。