その成果が表れたのが、今年2月5、6両日に都内で行われた東京五輪選手指定記録会だ。他の五輪代表候補を相手に600満点中575点の高得点をたたき出し、1位になった。
折谷さんは自身の状態について「最終選考会などの大きな大会に向け、的を狙って撃つ際の感覚的な部分が整ってきた感じがする」と明かす。
簡単ではない道
調子が上向いている折谷さんだが、五輪代表への道はたやすくない。近藤監督によると、折谷さんが五輪代表に内定するには、まず3月19日から3日間の日程で行われる最終選考会で1位になり、かつ日本記録の577点以上を取る必要がある。さらに4月16~27日に開催予定の韓国ワールドカップに出場し、五輪出場資格獲得のための標準記録(MQS)550点以上を出すことだという。
練習では、試合と同じ弾数である60発を的の中心に淡々と撃っていく。エアピストルを構えてから発射までの間、何を考えているのか聞くと「同じように呼吸することに意識を集中している」とのこと。10メートル先の0・5ミリの違いが勝敗を分けるだけに、息づかい一つが重要になってくる。
迫ってきた最終選考会に折谷さんは「あこがれの選手たちと戦えるのはすごく楽しみ。後悔のない射撃をしたい」と自然体だ。このあたりが大一番に強い理由かもしれない。
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【エアピストル10メートル】 圧縮空気で弾を撃つエアピストルで10メートル先の標的を狙う競技。標的の中心に近いほど得点が高く、最高点の10点は標的の中心から半径11・5ミリ。男女とも1時間15分以内に60発撃ち、合計得点を競う。600点満点。女子の日本記録は577点。折谷未来さんの自己ベストは576点。