アフリカウオッチ

「窮余の策」で人気集める中国製ワクチン 

2月17日、セネガルの首都ダカール近郊の空港で、シノファームのワクチン到着を受けて談話を発表するサル大統領(ロイター)
2月17日、セネガルの首都ダカール近郊の空港で、シノファームのワクチン到着を受けて談話を発表するサル大統領(ロイター)

 アフリカ諸国が中国から新型コロナウイルスワクチンの購入を相次いで進めている。世界保健機関(WHO)などが設立した国際的枠組み「COVAX」(コバックス)で供給されるワクチンでは短期間に十分な量を満たせないためだ。中国が目指す東京五輪へのワクチン協力は、実現すればアフリカ各国の選手団も有力な対象になる。アフリカは中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の重要拠点。中国は欧米諸国が自国のワクチン確保に躍起になっている間に各国の要請に応え、投資・貿易面で関係深化を目指す狙いもうかがえる。

(カイロ 佐藤貴生)

拡大する需要

 COVAXはワクチンを共同購入して途上国にも分配する枠組みで、米製薬大手ファイザーや英製薬大手アストラゼネカのワクチンが145カ国・地域に供給される見通しだ。2月下旬に西アフリカのガーナに初出荷され、3月上旬までにアフリカで人口最大のナイジェリアやケニア、ウガンダなどにも到着した。

 しかし、COVAXで供給できるのは貧困国などの人口の2割にとどまるとされる。アフリカでは枠組みに参加していない国もある。

 こうした情勢のなか、米メディアは今月、セネガルのサル大統領が中国製薬大手の中国医薬集団(シノファーム)のワクチンを接種する様子が現地テレビで生中継されたと報じた。ジンバブエのムナンガグワ大統領はシノファームのワクチン20万回分の無償供与を受けたとして、「暗いトンネルを抜ける光」が見えたと謝意を述べた。中国のワクチンに寄せる期待の大きさを示している。

 トルコのアナトリア通信によると、アフリカではこのほかにエジプトやエチオピア、ナイジェリアなど7カ国が中国製ワクチンを入手、ケニアとギニアも獲得に向けて交渉中だ。

 アフリカの総人口は約13億人で、今月9日現在で400万人近くが感染、死者は10万人を超えた。感染者、死者とも南アフリカが大陸で最も多い。同国の識者はアナトリア通信に、「欧米諸国がワクチンをため込んでいるため、貧しい国々は代わりの入手先を探すしか選択肢がない」と述べ、中国やロシアがアフリカへのワクチン供給で「利益を得ている」との見方を示した。

対中印象改善も

 新型コロナの感染拡大を受け、中国は20カ国・地域(G20)の枠組みでアフリカ諸国の債務の繰り延べなどに同意した。中国はアフリカ最大の債権国で、米ジョンズ・ホプキンス大によると、2000~18年に総額1500億ドル(約16兆円)の融資契約を締結し、19年の直接投資は推計27億ドルで米国を上回る。

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