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世界三大映画祭の一つ「ベルリン国際映画祭」のコンペティション部門で、新作映画「偶然と想像」が銀熊賞(審査員グランプリ賞)を受賞した濱口竜介監督(42)。黒沢清(65)、是枝裕和(これえだ・ひろかず)(58)、河瀬直美(51)各監督に続く次代を担う日本人監督として世界が注目する濱口監督とは? 単独インタビューと受賞会見から迫ってみたい。(水沼啓子)
■出発点は大学時代
濱口監督は川崎市生まれ。子供の頃は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」などハリウッド映画を面白がってみる程度だった。父親も兄も東京大だったので自身も同じように東大に進学。在学中に映画研究会に入り、東大総長(当時)で映画評論家の蓮實重彦(はすみ・しげひこ)氏の著書などを読むうちに、映画に対する認識が180度変わった。東京芸大大学院映像研究科の修了作品「PASSION」は、国内外の国際映画祭に出品され話題となる。
演技経験のない4人の女性が出演した5時間超の長編映画「ハッピーアワー」(2015年)は、若手の登竜門としてスイスで開催されるロカルノ国際映画祭でこの4人が最優秀女優賞を受賞し、世界の映画界から注目された。同映画祭の作品選定を統括していたアーティスティック・ディレクター(当時)のカルロ・シャトリアン氏は、作品について「21世紀のコミュニケーションシステムがわれわれに課す挑戦である」と評価した。