インド、「反中国クラブ化」に慎重 クアッド首脳会合で温度差 - 産経ニュース

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インド、「反中国クラブ化」に慎重 クアッド首脳会合で温度差

 【シンガポール=森浩】インドのモディ政権は、首脳会合を通じた日本、米国、オーストラリアとの連携強化を歓迎している。軍事的圧力を強める中国への一定の牽制(けんせい)効果や、新型コロナウイルスワクチンの提供先拡大を期待するためだ。ただ、全方位外交を志向するインドは、4カ国の枠組み「クアッド」が対中包囲網の性質を強め、「反中国クラブ」となることに慎重な姿勢を崩していない。

 「私たちは民主主義の価値観で団結している。共通の価値観を推進し、これまで以上に緊密に協力していく」。モディ首相は12日の4カ国首脳会合でこう述べ、クアッドの意義を強調した。

 中国の圧力がインドを日米豪に近づけたのは間違いない。昨年5月から今年2月まで中印両軍は係争地で対峙(たいじ)。衝突によってインド側の20人が死亡した。両国の事実上の国境である実効支配線(LAC)沿いでの中国による軍事インフラ整備も相次いで判明し、対中警戒感が急速に高まった。

 昨年11月には2007年以来となる4カ国による海上合同軍事演習が実現した。インドは長年、中国の反発を警戒して豪州の参加を拒否してきたが、態度を変えた形だ。

 それでもインドは中国との対立激化には慎重だ。対中貿易赤字が膨らんでいるほか、LAC付近での軍備も中国に比べて見劣りするためだ。外交筋によると、インドは当初、4カ国首脳会合開催について難色を示したという。

 他の3カ国は「対中国」という色合いを薄めるため、安全保障ではなく新型コロナワクチンを軸とした協力というテーマを用意した。ジェネリック医薬品(後発薬)大国であるインドは自国産ワクチンの提供や販売を通じて国際社会で存在感を増そうとしている。4カ国連携が製造・開発資金の流入や提供先拡大につながることを歓迎し、首脳会合に賛同した。

 ただ、インド外務省は12日の首脳会合後の記者会見で、「クアッドは何かに対抗するのではなく、世界の利益のためのものだ」と述べ、改めて中国を意識した連携ではないことを強調。日米豪との温度差はぬぐえない。

 また、インドは歴史的に武器調達でロシアへの依存度が高い。ロシア製最新鋭防空システム「S400」の導入も決めており、米国は反発を強めている。中露とも関係を保ちたいインドの姿勢が、クアッドの結束にどんな影響を与えるかは見通せない。

 中印関係に詳しいインドのジンダル・グローバル大のスリパルナ・パサク准教授は「全方位外交を目指すインドの立場は中国も熟知している。クアッドにくさびを打つため、中国がインドに接近する展開は容易に想像できる」と指摘。「中国が台頭する中、民主主義の価値観を共有するクアッドは極めて重要な連携だ。インドは長期的視野のもと、3カ国との関係を深めていく必要がある」と話している。