深層リポート

引き取り終えた? 「思い出の品」 震災10年 福島・浪江の展示場閉鎖へ

【深層リポート】引き取り終えた? 「思い出の品」 震災10年 福島・浪江の展示場閉鎖へ
【深層リポート】引き取り終えた? 「思い出の品」 震災10年 福島・浪江の展示場閉鎖へ
その他の写真を見る (1/2枚)

東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の影響で、町民の多くが今も避難生活を続ける福島県浪江町。町を南北に走る国道6号沿いに「思い出の品展示場」がひっそりたたずむ。がれき撤去の際などに見つかった1万5000点以上の「思い出の品」が持ち主を待つ展示場は、21日での閉鎖が決まっている。理由は訪れる人の減少。同様の返却事業を手掛ける他の自治体でも、震災10年で区切りをつけるケースが目立っている。

自治体に生じる負担

浪江町の展示場開設は平成26年7月。保管されているのは、環境省の災害廃棄物処理事業で見つかった物品だ。展示場は環境省が運営し、がれき撤去などを請け負うゼネコンに業務を委託している。品物の多くは写真。結婚式、卒業式、旅行や運動会…人生の節目の大切な1枚と思われるものも少なくない。

これまでに延べ1万人以上が足を運び、2300点以上が持ち主やその家族などに返還された。しかし、多い時に年間2000人近くいた来場者が昨年度は約1500人に。今年度、昨年12月までの9カ月間に足を運んだ人は、607人にとどまっている。

環境省の事業は今年度末で終了し、4月以降、展示品は浪江町に移管されることになっていた。しかし、保管や維持などの負担が生じる一方で、探しに訪れる人がほとんどいない状況もあった。同町は「町と環境省、地元の行政区と協議し、地元から『処分してもいいのでは』との声があり閉鎖が決まった」(住民課)と説明する。

写真はデータ化

浪江町と同様、震災から10年を契機として「思い出の品」の返却に関連する事業を見直す自治体は多い。

仙台市はNPO法人と協力し、被災地で見つかった写真などを展示、所有者らに返す活動を不定期で行ってきた。しかし、14日まで開かれる「返却会」が最後になる。

宮城県気仙沼市は2月で現物の返却を終了した。同市は「現在は品物を処分する準備を行っている。写真は画像データ化しており、市で保管する」(危機管理課)という。