夏の東京五輪・パラリンピックで課す観客数の上限について、各会場の収容定員の50%を原則とし、大きな施設では最大2万人の上限を設ける案が浮上していることがわかった。新型コロナウイルスの感染状況が改善すれば、2万人を超えても50%まで入場者を容認する。大会組織委員会は4月中に基準を示す方針で、このときの国内の入場制限に準拠する方向だ。複数の政府・組織委関係者が明らかにした。
観客数の上限は、政府と組織委、東京都、国際オリンピック委員会(IOC)などによる3日の5者協議で、来月中に判断することで合意している。
IOC内では判断を5月以降に先送りするよう求める声もあるが、組織委は「さまざまな業界から早いうちに示してほしいとの声が寄せられている」(橋本聖子会長)として、予定通り4月に基準を示す考えだ。組織委幹部は「5月以降の感染状況に合わせ、その都度柔軟に方針を変更する」と語る。
政府が2月に示した歓声などがあがる大規模イベントの入場制限に関する指針では、緊急事態宣言の解除後に1カ月程度の経過措置を設け、その間は収容定員の50%以内なら1万人まで認める。政府などが観客が退場する際の実証調査を行った後は、2万人まで増やす。
1都3県に発令中の緊急事態宣言が期限である3月21日に解除された場合、観客数上限を判断する4月は経過措置期間である可能性が高く、組織委はこの基準をあてはめる方針だ。組織委が判断する時期が経過措置期間終了後になれば、上限をさらに引き上げ、大規模な競技場でも収容定員の50%まで受け入れる。
ただ、感染が再拡大した場合は、入場制限の厳格化や無観客とする可能性もある。