パリの窓

フランスのワクチン熱

 フランスの話題はいま、新型コロナウイルスのワクチン一色。医療関係者を除くと、現在の接種対象者は原則として75歳以上に限られる。それでも、パリは予約がパンク状態だ。

 知人の元大学教授は予約の電話が通じず区役所まで行った。テレワークのせいか職員はまばら。商店街で顔見知りの助役に不満をこぼしたら、役所から電話があり、「10日後に来てください。ただしキャンセル待ちです」と言われたとか。

 フランスはドイツや英国より接種ペースが遅い。批判を受け、政府は先週末、軍医や消防隊員まで動員し、大キャンペーンを展開した。3日間で50万人に接種したというから、驚く。

 国内の関心がワクチン接種競争に移ると、空気は一変した。昨年の今頃、日韓や台湾は感染対策の優等生としてもてはやされたのに、いまや「接種が遅れた国」扱い。新聞では「アジアは厳しい入国規制が解除できず、経済復興が遅れる」という予測記事まで出た。ちょっと悔しい。

 ワクチン接種が進むせいか、緩みも目立つ。新規感染者は連日2万人超なのに、春の陽光に誘われてセーヌ川岸は人でいっぱい。何のためにカフェや美術館を閉鎖しているのか…。ワクチンに懐疑的だった20代の友人も「飲みに行けるなら、すぐ打ちたい!」と絶叫していた。(三井美奈)