3・11を想う

英紙タイムズ東京支局長 リチャード・ロイド・パリーさん 「仕方がない」と我慢してはだめ 

取材に応じる英「ザ・タイムズ」紙の東京支局長、リチャード・ロイド・パリー氏=東京都渋谷区佐藤徳昭撮影)
取材に応じる英「ザ・タイムズ」紙の東京支局長、リチャード・ロイド・パリー氏=東京都渋谷区佐藤徳昭撮影)

 日本に25年以上暮らし、英紙タイムズのアジア編集長・東京支局長を務めるリチャード・ロイド・パリー氏(52)は、東日本大震災を取材し、2017年に「津波の霊たち 3・11 死と生の物語」(日本語訳は翌年出版)を出版した。児童74人らが津波の犠牲となった宮城県石巻市立大川小の悲劇や、被災地で「目撃」された幽霊などについて記し、国内外で評価された。

 --震災後、東京から被災地に向かった

 「震災翌日の12日に車で出発したが、道路状況が悪く、24時間近くかかった。到着したのは13日。沿岸を中心に2週間取材した。その後も時間が許すかぎり頻繁に訪れた」

 --この10年、外国人記者として、日本はどこが変わり、どこが変わっていないと思うか

 「私が暮らし、仕事をする東京では、古いビルが壊され、新しいビルが建設され続けている。物理的には大きく変わったと思う」

 「今では浅い考えだったと思うが、発生直後、被害は甚大だったものの、震災が今後の日本にポジティブな変化をもたらすのでは、という期待があった。歴史を見ると、大きな困難やショックが日本を新しい時代へ推し進めることがある。たとえば、黒船来航は日本を明治時代へと導いた。1945年の敗戦も、戦後時代の幕開けとなり、大きな創造力を生んだ。東日本大震災でも、同じような変化が起こるのではないかと思った。しかし、そんな変化は見られなかった」

 --著書では被災者の忍耐について、「日本人の受容の精神にはもううんざりだった。過剰なまでの我慢にも飽き飽きしていた」と記した

 「津波の被害があった地域の避難所では、被災者の回復力には心を打たれた。次の食事がいつ提供されるのか分からない状況で、取材する私に被災者が土産を渡そうとした。被災者同士、励まし合っている様子にも感動した。災害の被災地では、被災者に回復力や忍耐力、我慢強さがあることは、外からの支援に頼らなくてはならないわけではないという点で、強みになる」

 「だが、私が日本人と政治について話すとき、あたかも政治を『天災』のように捉えているように感じる。疑惑や不祥事があっても『仕方がない』と受け止めている。民主主義の国なのだから、ここで我慢してはいけないはずだ」