「これからも忘れない」 宮城県石巻市で追悼、児童犠牲の大川小でも

石巻南浜津波復興祈念公園で石巻市慰霊碑除幕式が行われた。慰霊碑には3695名の名前が刻まれた銘板が並び、多くの人が亡くなった人の名前を探しに訪れていた。遺族代表の佐藤梨恵さん(44)は「たくさんの方が亡くなったのだと改めて実感。人が集まって思い出話をしたりとにぎやかな場所になってほしい」と話した=11日午前、宮城県石巻市(須谷友郁撮影)
石巻南浜津波復興祈念公園で石巻市慰霊碑除幕式が行われた。慰霊碑には3695名の名前が刻まれた銘板が並び、多くの人が亡くなった人の名前を探しに訪れていた。遺族代表の佐藤梨恵さん(44)は「たくさんの方が亡くなったのだと改めて実感。人が集まって思い出話をしたりとにぎやかな場所になってほしい」と話した=11日午前、宮城県石巻市(須谷友郁撮影)

 津波や火災の延焼で541人が亡くなった宮城県石巻市の南浜・門脇地区。震災後に市民が設置した「がんばろう!石巻」の看板は、復興を目指す地域のシンボルとなった。11日午前には、犠牲者の名前を刻んだ慰霊碑の除幕式が行われた。

 慰霊碑には、石巻市内で犠牲となった4094人のうち、遺族の同意を得た3695人の名前が刻まれている。除幕式が終わると、訪れた遺族らは故人の名前を探したり、慰霊碑をなでたりしながら、亡き人の面影を探した。

 「10年たっても、気持ちは変わりません。卒業生と娘の年が同じで、成長を感じるたびに、亡くなった子たちが重なります」

 12人の生徒を津波で失った中学教諭の千葉佳代子さん(56)は、慰霊碑の名前を優しくなで、手を合わせた。その目には涙が光っていた。

 会社員の布施英弥(ひでひこ)さん(39)は、小学校入学直前の次女、莉桜(りお)さん=当時(6)=を津波で亡くした。慰霊碑に刻んだ名前を見て、「全身あざだらけだった。どんなに痛くてつらい思いをしたか。この子がいたことを忘れてほしくない」と語った。

 同県塩釜市の会社員、桃井幸江さん(50)は、3年以上交際し、津波で亡くなった勝弘さん=当時(39)=の名前を探した。「10年はあっという間。今でも生きているのではないかと思ってしまう」

 慰霊碑に名前は見つからなかったが、携帯電話に保存した勝弘さんに寄り添う笑顔の写真を見つめながら誓った。「これからも忘れないで生きていく。忘れたらかわいそうだから」

 震災で児童74人が犠牲になった同市の大川小学校。新型コロナの影響で昨年に続き追悼式は中止となった。それでも多くの遺族らが訪れ、地震発生の午後2時46分に黙祷をささげた。

 6年生だった三男の雄樹さん=当時(12)=を亡くした佐藤和隆さん(54)は「あっという間の10年。息子との時間は止まったままで、改めて現実を突き付けられた」と語った。黙祷の間は「守れなくてごめんね、と、申し訳ない気持ちでいっぱいだった」という。

 5年生だった次女、千聖さん=当時(11)=を亡くした紫桃隆洋さん(56)は「あまりにも色々なことがありすぎた。ただ、一番感じるのは、これまで支えてくれた皆さんへの感謝の気持ち」と10年を振り返った。

 春から大川小が震災遺構として公開される。「娘の最期に寄り添えず、抱きしめることができなかった無念は、一生背負っていく。自分の命のある限り、報いるのは当然ながら、語り部として、大川小の悲劇を繰り返さないように活動していきたい」と語った。(本江希望)