鐘が紡ぐ2つの寺の絆 宮城と埼玉でオンライン合同法要

鐘が紡ぐ2つの寺の絆 宮城と埼玉でオンライン合同法要
鐘が紡ぐ2つの寺の絆 宮城と埼玉でオンライン合同法要
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 埼玉県飯能市の法光寺は、東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県名取市の東禅寺から梵鐘(ぼんしょう)を預かり、寺の再建に向けた歩みを見守ってきた。法光寺では11日、オンラインで東禅寺とつなぐ形式で合同法要が営まれた。鐘が紡いだ2つの寺の絆-。法光寺住職の大野文敬(ぶんけい)さん(61)は「これからも飯能から東禅寺を支えたい」と力を込めた。

 東禅寺は、東日本大震災に伴う津波で住職夫妻が亡くなり、本堂が損壊するなど大きな被害を受けた。3つの梵鐘は津波で流され、寺の近くで発見された。

 住職の長男で、震災後に寺を継いだ三宅俊乗(しゅんじょう)さん(62)は、本堂が使えるようになるまでの間、梵鐘を法光寺に預けることを決めた。住職の大野さんが大学時代の同級生だったからだ。

 その後、東禅寺は再建を果たし、平成30年6月に梵鐘のうち2つが戻された。ただ、残る1つは「これで終わりではなく、東禅寺の復興を見守り続けるという思いを伝えたい」という大野さんの強い思いから、今も法光寺に置かれている。

 合同法要では、通常は18回突くことになっている追悼の鐘を、2つの寺で9回ずつ分け合って突いた。法光寺では、預かっている梵鐘を大野さんが突いた後、午後2時46分に合わせて参加者が黙祷(もくとう)をささげた。

 法光寺には今も、埼玉県内などに身を寄せている被災者が鐘を突くために訪れることが多いという。

 大野さんは「震災からの10年で、東北の人の粘り強さと『絆』を学んだ」。三宅さんは「無念さや悲しみを感じることもあったが、再建を果たすことができた。法光寺の支えに感謝している」と感慨深そうに話した。(内田優作)