津波で14人が死亡、2人が行方不明となり、千葉県内最大の人的被害が出た旭市では、県と市合同の「東日本大震災十周年追悼式」が開かれた。
津波被害が甚大だった飯岡地区の海岸近くにある同市横根の「いいおかユートピアセンター」での追悼式は、新型コロナウイルス感染予防のため、例年より参列者を減らし、遺族8人を含む51人が参列。地震が発生した午後2時46分から1分間の黙祷をささげた。
森田健作知事は式辞で「震災から10年の節目となるが、得られた教訓を決して忘れない」と述べ、県として引き続き防災対策に取り組むことを誓った。明智忠直市長は「次の世代が安心して暮らせる基盤をつくるためには震災の記憶を風化させないことが重要。津波に備える気持ちが薄れないように市民とともに取り組んでいく」と話した。
追悼式の後には、市が10年の節目に建立した慰霊碑の除幕式が行われた。高さ約1・8メートル、幅約1・2メートルの石碑の裏面に「震災の記憶を後世に継承してまいります」と刻まれた。
式典終了後、明智市長は取材に「震災を風化させないという意味で、市単独でも規模を縮小してやっていきたい」と来年以降も式典を続けていく意向を表明。「復興事業はほぼ終わったが、被災された方々の心の復興はまだ道半ばだ」と指摘した。