静岡県でも教訓生かす 津波・原発災害備え大幅拡充 「南海トラフ」死者想定の8割減目標    (1/2ページ) - 産経ニュース

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静岡県でも教訓生かす 津波・原発災害備え大幅拡充 「南海トラフ」死者想定の8割減目標    

 東日本大震災から11日で10年を迎えた。南海トラフ巨大地震が想定され、中部電力浜岡原発(御前崎市)も抱える静岡県は教訓を生かすべく、この10年で大幅に対策を進めてきた。津波避難タワーを16倍にも増やし、遠州灘に見渡す限りの防潮堤を完成させたことで、巨大地震時の想定死者数は以前の予測に比べて7割減にまで抑えた。県はさらに高い「8割減」の目標を設定し、備えの強化を続ける。

 「これで、津波から避難できない地域はなくなりました」。静岡市の防災担当者は声を弾ませた。昨年11月、市内17基目の津波避難タワーが同市駿河区西島に完成し、設置計画が完了。津波避難ビルも148施設を指定済みで、高層の建物が少ない清水区内には、盛り土による人工高台も整備した。千年に一度の大津波(レベル2)が襲来しても想定浸水域の住民全員が避難できる態勢が、大震災10年目にしてようやく整ったのだ。

 巨大地震で想定される死者の9割以上は、津波によるものとされる。津波対策の進捗が犠牲者減に直結する中、静岡県内全体でもこの10年間、備えは劇的に拡充された。

 県内の津波避難タワーは、東日本大震災前はわずか7基だったが現在は115基と、16倍以上に増加。津波避難ビルの指定は508施設から1348施設と、2・7倍になった。

 昨年3月には、浜松市の遠州灘海岸に総延長約17・5キロ、高さ約13メートルの防潮堤が完成。富士海岸や蒲原海岸にも防潮堤ができ、想定浸水面積は縮小した。

 平成25年度に静岡県が策定した第4次地震被害想定では、南海トラフ巨大地震時の死者は最大10万5千人と試算されていた。だがこうした対策の結果、これが今年度中に7割減の3万3千人まで引き下げられる。

 震災を機に、原子力災害への向き合い方も変わった。

 以前は、浜岡原発での事故時に避難が必要とする範囲は10キロ圏と設定していた。だが東京電力福島第1原発事故では放射性物質が広範囲に飛散。このため静岡県は、原発から31キロ圏の住民全員が逃げるための計画策定に着手した。避難対象を11市町の約93万人に拡大。関東や北陸への広域避難も想定した計画を作り上げた。