外務省、福島風評払拭に対外発信強化 欧州テレビ局に協力

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 東日本大震災の発生から10年を迎えたのに合わせ、外務省は、復興の取り組みを紹介する海外向け動画を作成したほか、東京電力福島第1原発事故後の対応などを特集する欧州のテレビ局の番組制作に協力した。こうした取り組みは初めてで、欧州やアジアなどの一部で日本産食品に対する輸入規制が続く中、正確な情報発信を通じて風評被害の払拭につなげる考えだ。

 外務省が協力したのは、欧州のニュース専門テレビ局「ユーロニュース」。特集番組は日本政府の除染や廃炉の取り組み、地元経済の復興などを取り上げ、9日からテレビやウェブサイトで放映されている。

 番組には、廃炉の現地調査などを担当した国際原子力機関(IAEA)のグゼリ核燃料サイクル・廃棄物技術部長が出演。少量の放射性物質の環境放出は全ての原子炉に認められており、福島でも安全基準に基づいた形で行われることを説明した。キャスターに福島産の食品について尋ねられ、調査団も現地で食べており、「試す価値はある」と勧める場面もある。

 ドイツの大学教授も欧州で関心が高いチェルノブイリ原発事故と比べ、放射能汚染などは比較にならないほど少ないことを指摘する。外務省は、テレビ局の第1原発やグゼリ氏の取材などをサポートしており、「日本が事故にしっかり対応していることを知ってもらい、風評被害を払拭する必要がある」と話す。

 欧州連合(EU)などは東北産の一部食品について検査証明などを義務付けているほか、韓国などは輸入停止を含む規制を継続している。番組は韓国語でも視聴できるようにする予定だ。

 同省では、復興が進む福島の魅力や、震災時に支援に携わった外国人と被災地との交流を取り上げた動画なども作成し、米CNNテレビや英BBC放送などのCMで流している。

 茂木敏充外相は11日発表した談話で「震災後10年を経ても日本産食品の輸入を規制する国や地域があることは残念だ。科学的根拠に基づき、一日も早い規制撤廃を実現すべく、全力を尽くす」と強調した。(田村龍彦)