復興日本 東日本大震災10年

第3部 未来へ(5)デジタル防災 命を救う

【復興日本】東日本大震災10年 第3部 未来へ(5)デジタル防災 命を救う
【復興日本】東日本大震災10年 第3部 未来へ(5)デジタル防災 命を救う
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AI駆使 瞬時の避難誘導

「国道が土砂崩れで寸断されたらしい」

運行管理者の指示で18機の小型無人機(ドローン)が荒天の空に舞い上がった。上空約100メートルから撮影した映像が、リアルタイムで地上に届く。昨年10月に愛媛県で実施された防災訓練の様子だ。

◆ドローンで120キロ把握

現場は原子力発電所もある伊方町だが、ドローンの運行管理者がいるのは約80キロ離れた松山市の県庁。当日は視界不良で防災ヘリが飛行を断念するほどの悪天候だったが、あらかじめ決めたルートを人工知能(AI)で自律飛行するドローンは飛行が可能だった。

東西に細長くのびた佐田岬半島に位置する伊方町では、町を貫く1本の国道が文字通りの生命線だ。大災害では、被害状況をいち早く把握する必要がある。半島部の情報収集は時間を要するため、役場や支所などに計23機のドローンを配備。災害発生から約1時間で総延長120キロの道路状況を把握できるようにした。

システムを開発したNTTデータによると、撮影した映像をAIが自動で分析する機能拡充も予定している。赤外線カメラなどに切り替えれば、夜間でも利用でき、支援物資の運搬などにも応用できるという。

IT関連の先端技術を防災に活用する試みは、この10年間で急速に広がった。テクノロジーの進歩がそれを可能にしただけでなく、東日本大震災の教訓をどう生かすかが日本の大きな課題として浮上したからだ。

「一体何が起こっているのか分からなかった」。東北大の越村俊一教授(津波防災工学)は当時、津波被害のあまりの大きさに言葉を失った。全容を把握できない中での災害対応が、いかに困難かを痛感した。

大災害が起きたらすぐに被害を予測し、適切な救援や復旧活動を支援したい。こうした思いから開発したのが、津波のリアルタイム被害予測システムだ。

地震の揺れや地殻変動の観測データを基に、スーパーコンピューターで津波の規模を自動的に計算。30分以内に浸水範囲や被害を予測する。津波の高さや浸水域の人口、建物の被害を向こう6時間にわたって予測し、情報を配信する。

南海トラフ地震を想定した内閣府のシステムとして既に導入されており、予測結果は政府の災害対策本部が初動に生かす。将来は一般向けに情報提供して避難行動を促す構想もある。