【東日本大震災10年】復興を超えた未来へ 起業家の思いが変える社会(1/3ページ) - 産経ニュース

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東日本大震災10年

復興を超えた未来へ 起業家の思いが変える社会

GRAのビニールハウスで栽培されたイチゴの摘み取り=宮城県山元町(同社提供)
GRAのビニールハウスで栽培されたイチゴの摘み取り=宮城県山元町(同社提供)

東日本大震災の発生から11日で10年。日本経済に深い傷を負わせた未曽有の大災害は多くの起業家にとっても重要な転機となった。単に復旧や復興を支えるだけでなく、被災地や日本社会全体に明るい未来をもたらそうという思いが起業家たちの力となっている。

特産のイチゴで「故郷を立て直したい」

「空襲後の焼け野原のような、ただただ悲惨な光景だった」

仙台市から南に約30キロ離れた宮城県山元町で活動する農業ベンチャー「GRA」の岩佐大輝最高経営責任者(CEO)=43=は、震災発生翌日に駆け付けた生まれ故郷の山元町で目にした光景に衝撃を受けた。地元特産のイチゴ畑などあらゆるものが流された後だった。

当時は東京でIT企業を経営していたが、週末ごとに山元町に戻っては地元住民と一緒にがれきの撤去にあたった。「故郷を立て直したい」。その思いを胸に、IT企業はすべて共同経営者に任せ、山元町でGRAを立ち上げた。

賞味期限が短いイチゴは価格設定で買い手有利となりやすく、農家の所得維持が難しいなどの課題を抱える。そこで目をつけたのが高値で安定して買い取ってもらえるブランド力のある高級イチゴの開発だ。「ビジネスとして資本市場から資金を調達できるような農業を確立したい」との目標を掲げての出発だった。

地元の農家の指導を受けながら平成23年秋には栽培が始まった。イチゴ作りは同じ産地でも栽培ハウス内の温湿度が異なるだけで甘さにバラツキがでるほど繊細だ。この難しさを克服するため、IT企業での経験を生かし、先端技術を駆使してハウス内の温湿度や照度を徹底的に管理する手法にこだわった。