震災10年 故郷への思い胸に、スペインで鍛錬の日々 平野恵里子 - 産経ニュース

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震災10年 故郷への思い胸に、スペインで鍛錬の日々 平野恵里子

平野恵里子さん
平野恵里子さん

 津波で多くの人的被害が出た岩手県大槌町の出身で、ラグビー女子日本代表のWTB平野恵里子は復興と軌を一にするかのように成長してきた。「いい結果を残し、地元の人に喜んでもらえたら」。故郷への思いを胸にさらなる活躍を目指し、スペインの地で楕円(だえん)球を追う。

 震災が起きたのは釜石高の卒業式から10日後、日体大進学を目前に控えた時期だった。家族は無事だったが自宅は全壊。突然、明日の暮らしが見えなくなり、進学は困難かに思われた。

 避難所に身を寄せる状況だったが、父の博美さんが車を借りてきて、入学式に合わせ東京まで送ってくれた。大学生になれた。

 決して器用な方ではなく、早くに才能が開花したわけではない。だが気持ちの強さは誰にも負けない。「私が活躍することでみんなが喜んでくれる」。道路が通ったり高台になったり、帰省するたびに風景が変わる故郷に励まされながら、一歩ずつ前に進んだ。

 7人制では2014年3月に日本選抜の一員として香港女子セブンズに出場。15人制では同年11月の全国女子選手権でチーム優勝に貢献し、MVPに選ばれた。大学卒業後もラグビーを続け、16年には15人制で日本代表入り。翌17年にはW杯アイルランド大会出場を果たした。ただ、結果は出場12チーム中11位。満足できるものではなかった。

 今年秋に予定されていたW杯ニュージーランド大会に向け、外国選手のパワーに負けない力をつけようと海外移籍を模索。昨年11月にスペイン1部リーグのセビージャに加入した。

 コロナ禍でW杯は1年延期になった。だが、出国前の数週間を故郷で暮らし「改めて地域の人たちの支えがあってラグビーができていることを実感した」という28歳に落ち込んだ様子はない。

 「少し残念でしたが、私は前向きに考えられています。中止ではなく延期なので、来年のW杯に向け計画を立てたいと思います」。不屈の精神で鍛錬を続ける。(橋本謙太郎)