【ポトマック通信】ケネディと陰謀論 - 産経ニュース

メインコンテンツ

ポトマック通信

ケネディと陰謀論

キューバのまわりの海上を封鎖するとテレビで発表するアメリカのケネディ大統領=1962年10月(AP)
キューバのまわりの海上を封鎖するとテレビで発表するアメリカのケネディ大統領=1962年10月(AP)

 バイデン米大統領は、今年10月までに一つの重要な判断を迫られている。1963年に起きたケネディ大統領暗殺事件に関する政府保管の未公開文書を全面開示するかどうかを決めなければならないのだ。

 文書をめぐってはトランプ前政権下の2017年に残る約3200点の全面開示が予定されたが、うち約300点は公開の判断が4年後に先送りされた。

 暗殺の真相は完全には解明されておらず、数多くの陰謀説が飛び交う。先月にはウルジー元中央情報局(CIA)長官が新著で「黒幕は当時のソ連トップのフルシチョフ氏」と主張し、注目を集めた。

 ただ、例えば「狙撃犯は複数いた」など、陰謀説の根幹を成す主張の大半は科学的検証の積み重ねで否定され、現在はオズワルド容疑者による単独犯行説が最も説得力を増している。

 ところが、間違いと証明されたはずの陰謀説の多くは今も「有力説」扱いされている。陰謀説を飯の種にする作家や研究者が事実を無視して確信犯的に虚構を説き続け、それを無批判に信じる人々がいるからだ。

 昨年の米大統領選での「不正選挙」をめぐる騒動と似た構図だ。陰謀論を「真実」とみなす人々には、事実に基づく論理的説明が必ずしも通用しない。陰謀論と対決する難しさはそこにある。(黒瀬悦成)