東日本大震災10年

原発事故で発生の指定廃棄物 一時保管長期化に農家不安

県北の農家が一時保管している指定廃棄物。男性は「自分の代で片付けたい」と話す
県北の農家が一時保管している指定廃棄物。男性は「自分の代で片付けたい」と話す

10年前の東京電力福島第1原発事故に伴い発生した栃木県内の放射性物質を含む指定廃棄物は、福島県に次ぎ全国の都道府県で2番目に多い1万3553トン(環境省まとめ)。このうち農家123戸が保管する2993トンの放射能濃度は、8割が国の基準値を下回ったが、農家の負担軽減に向けた暫定集約や特定一般廃棄物として処理が可能になる指定解除への動きは鈍い。県内の指定廃棄物を集める処分場候補地とされた塩谷町と同省の溝も埋まっていない。(山沢義徳)

いつでも運び出せるけど

県北の山あいの農家。母屋から50メートルほど離れた林のそばに、黒い遮水シートで覆われた指定廃棄物が保管されている。積み上げられた稲わらなど約10トン。農家の男性は「いつでもトラックが入って、運び出せるようにしてあるんだけどね」と苦笑する。

1キロ当たり約1万9千ベクレルだった放射能濃度は、2年前の再測定で約1万3千ベクレルまで下がった。だが、指定解除が可能となる国の基準値8千ベクレル以下には程遠い。

一時保管の長期化に、男性は「人口密集地というわけでもないし、仕方ないのかな」と肩をすくめる。処分場設置に反対する町民感情も理解できる。ただ後継者がなく、70歳を超えた今、「自分の元気なうちに片付けたい」と思いが募る。

国との協議難航

矢板市の斎藤淳一郎市長は昨年6月、基準値を下回った廃棄物の指定解除へ向け、同省との協議に応じると表明。解除されれば、特定一般廃棄物として市町での処理が可能となる。

処分場設置に時間がかかるならば、市内で暫定集約して1カ所にまとめることで、保管農家の不安を解消したい。斎藤市長は「暫定集約の候補地を選びやすくするためには、指定解除が欠かせない」と説明する。