復興日本 東日本大震災10年

第3部 未来へ(2)「地震防災は変わった」

【復興日本】東日本大震災10年 第3部 未来へ(2)「地震防災は変わった」
【復興日本】東日本大震災10年 第3部 未来へ(2)「地震防災は変わった」
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東京・虎ノ門に完成して間もない気象庁の新庁舎。約40年にわたって「地震予知」を掲げてきた部署名が姿を消した。想定外の巨大地震が襲った東日本大震災の教訓を踏まえ、東海地震の予知は困難だとして、国が平成29年に予知体制の廃止を決めたからだ。

「地震防災の在り方は変わったと感じた。時代の流れだ」。旧庁舎で地震予知情報課の看板を外した職員は、淡々とこう話す。

静岡県から九州までの太平洋側では近い将来、大津波を伴うマグニチュード(M)8~9の南海トラフ地震の発生が懸念される。最も東側で起きるとされた東海地震を含め、いつ、どこで起きるか分からない。

◆予知は諦め個別判断

予知と決別した気象庁は令和元年、南海トラフの新たな防災制度として「臨時情報」の運用を開始した。予知体制は前兆現象を捉えたら首相が警戒宣言を発令し、沿岸住民を一律に避難させるものだったが、気象庁が発表する臨時情報は状況によって対応が異なり、避難するかどうかも自治体や地域が決める。

臨時情報は巨大地震について「注意」と「警戒」の2種類がある。前者は通常と異なる地殻変動やM7級の地震が震源域付近で起きた場合に出されるもので、日頃からの備えを促すだけで、避難は求めない。

一方、広大な震源域の東西どちらかで岩盤が壊れ、M8級の巨大地震が発生した場合は「警戒」情報が出る。これは震源域の「半割れ」と呼ばれるケースで、残り半分の地域でも巨大地震が連動して起きる可能性が高いからだ。このため津波が起きてからでは間に合わない住民には1週間、事前に避難するよう求める。ただ、連動型の地震がいつ起きるかは不明だ。

名古屋大の福和伸夫教授(地震工学)は「現在の科学の力では確度の高い情報は出せない。臨時情報は社会を混乱させないため生まれたが、情報が出たからといって地震が確実に起きるわけではなく、避難行動は社会が判断せざるを得なくなった」と指摘する。

「半割れ」のケースでは残り半分の地域でも津波警報が出て、住民は既に避難している可能性が高い。臨時情報の事前避難とは、自宅に戻らず、避難生活を1週間続けることにほかならない。