「教訓を今に」陛下、研究でも被災地に寄り添われ 11日に初のお言葉(1/2ページ) - 産経ニュース

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「教訓を今に」陛下、研究でも被災地に寄り添われ 11日に初のお言葉

 天皇陛下は東日本大震災から10年となる11日の追悼式で初めてお言葉を述べられる。「水」に関する問題をライフワークとする陛下は、津波被害に心を痛め、研究者としても震災に向き合われてきた。過去の経験を、どう今に生かすか-。研究テーマは、天皇として被災地に寄り添うご姿勢にもつながっている。(緒方優子)

 「目の前に拡がる光景に私は思わず息をのみました」。平成24年3月、フランスで開かれた「第6回世界水フォーラム」。陛下はビデオメッセージによる講演で、震災3カ月後、仙台空港へ向かう機内で、沿岸部を目の当たりにした心境をこう語られた。宮城、岩手、福島の津波被害についても詳細にご解説。過去の津波に関する歴史書の記述と今回の津波の映像を重ね「経験を忘れることなく、未来に語り継いでいくことが大切」と述べられた。

 「陛下が講演で自身の心の動きを語られることは、めったにない。震災はそれほど、お心の中に深く刻まれたものだったのではないか」。ご研究に携わる政策研究大学院大の広木謙三教授(61)が振り返る。

 「歴史」を軸にした陛下のご研究のスタイルは学生時代に遡(さかのぼ)る。学習院大や留学先の英オックスフォード大では、地域の水運史を学ばれた。研究対象が世界の水問題に広がった契機として、陛下は著書で、留学の2年後に訪れたネパールでかめを手に水を求める女性や子供を見たことが「原点」と述懐されている。

 15年に世界水フォーラムの名誉総裁を務めた陛下は水を通じて各国に交流の輪を広げ、25年には国連で講演するなど、震災後は「水と災害」分野でも国際社会に発信を続けられている。「ネパールが陛下の水問題の原点だとすれば、震災は水と災害のお取り組みの原点ともいえるのではないか」。広木氏はそうみる。