新聞に喝!

総務省接待問題 倫理法以外の実効的仕組みを ブロガー・投資家 山本一郎

一連の週刊文春報道を受けて、官民交流のあり方が大きく揺らいでいます。産経新聞でも「総務省幹部、NTTからも接待 文春報道 追加調査へ」(「産経ニュース」3日)と報じるように、減給の懲戒処分を受けた谷脇康彦総務審議官らについて、東北新社の事案に続き、先日NTTドコモの完全子会社化を発表していたNTTグループからも高額の接待を受けていたことが明らかになりました。一足先に辞任した山田真貴子前内閣広報官(当時総務審議官)の名前も取り沙汰され、国家公務員倫理法への抵触はもちろん、過去の国会答弁との整合性についても問題視される可能性が出てきました。

所轄官庁で政策を左右する現役高級官僚と、その行政の影響下で事業を行う民間企業との間で、いわゆる情報交換を超えた関係を疑われることは厳に慎むべきであり、だからこそ倫理法ではわずかな接待による受益でも報告義務があるのですが、東北新社だけでなくNTTグループからも供応を受けていたのだとするとなかなか大変なことになります。ましてや菅義偉(すが・よしひで)首相は総裁選後から「国民の生活を考えて、携帯電話料金を値下げさせたい」とたびたび言及しており、またNTTグループはNTT法改正を控えて大変微妙な立場にありました。

政策面では、各事業者の状況や提供されている財やサービスの推移を見ながら、国民の生活や事業者の利益、社会全体の合理性、納得性といった多くの観点を踏まえて公平な行政を実現していかなければなりません。政策立案の責任者として、民間事業者との情報交換を密に行いながら最善の政策を実施しなければならないという目的はあっても、高額な接待を受けて報告もしていなかったとするならば、それは問題です。

海外のように、政権が変わるごとに高級官僚が政党によって指名され交代する仕組みや、適切な専門家を政策分野ごとに時限的に官僚として受け入れる交流人事は今後も増えていくでしょうが、このような問題が起きるならば歯止めとならない倫理法ではなく直接の交流そのものを禁じ、他国のようにシンクタンクやロビー団体に窓口を限定する方法も考えなければなりません。谷脇氏にせよ山田氏にせよ、有為な人材であってもここまで脇が甘いようであればいかんともしがたく、メディア側も公務員の倫理とともに優秀な人材をどこまで守るべきかという国益も考えて議論を行わなければなりません。

【プロフィル】山本一郎

やまもと・いちろう 昭和48年、東京都出身。慶応大卒。専門は投資システム構築や社会調査。情報法制研究所事務局次長・上席研究員。次世代基盤政策研究所理事。