深層リポート

栃木発 開業1年先送り、費用1・5倍の誤算 LRT 追加工事で暗雲

【深層リポート】栃木発 開業1年先送り、費用1・5倍の誤算 LRT 追加工事で暗雲
【深層リポート】栃木発 開業1年先送り、費用1・5倍の誤算 LRT 追加工事で暗雲
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栃木県の宇都宮市と芳賀町が共同で整備を進めている国内初の全線新設によるLRT(次世代型路面電車)の開業予定が当初の令和4年3月から、約1年先送りされることがほぼ確実となった。地盤補強などの追加工事が必要になったことや新型コロナウイルスの影響による用地買収の遅れが要因で、総事業費も約1・5倍に増えることが確定的。両市町の都市計画にも大きな影響を与えかねない状況になっている。

「見通し甘い」の声

今年1月、同市の佐藤栄一市長は、市議会の議員協議会で開業遅れや事業費の大幅増に関する説明に追われた。市議からは「見通しが甘かったのでは」「公表時期に問題があると思われても仕方ない」などの批判が相次いだ。

佐藤市長は昨年11月の市長選で、LRTを軸とした公共交通網の重要性を訴え5選を果たしたばかり。この時、予定通りの開業を強調していただけに、市議の反応は厳しかった。批判に対し「(今年)1月になって報告を受けた。市民への負担を大きくしないよう責任をもって国と(事業費負担に関して)交渉していく」と説明した。

総事業費も全体で約1・5倍もの約684億円にまで大きく膨らむ試算となった。平成26年に公表した当初計画では458億円。今年1月に明らかになった事業費は、当初に加え、同市分で191億円、同町分で35億円、計226億円の増額だった。

要因はいくつかある。まずは複数の立体交差区間などで地盤が弱いことが判明し、地盤補強工事が必要になったからだ。停留場などのバリアフリー対策、電気やガスなどの地下埋設物の補償といった、当初計上されていない費用の追加も判明。また新型コロナウイルスの影響で地権者との接触回数が減るなどし、用地買収交渉にも遅れが出ているという。