ベルリン国際映画祭で「銀熊賞」 濱口竜介監督「誇らしく思う」

 世界三大映画祭の一つ、ベルリン国際映画祭は5日夜(日本時間)、コンペティション部門の受賞作を発表し、濱口竜介監督(42)の「偶然と想像」が、第2席に当たる「銀熊賞」(審査員グランプリ賞)に選ばれた。同映画祭での日本の受賞は、映画「小さいおうち」で最優秀女優賞を獲得した俳優の黒木華(くろき・はる)さん以来7年ぶり。

 受賞の知らせに濱口監督は、「経験豊かな監督たちによる『審査員からの賞』が贈られたということを心からうれしく、誇らしく思っています」と喜びを語った。

 濱口監督がベルリン国際映画祭へ出品したのは初めてだが、欧州の映画界では黒沢清(65)、是枝裕和(これえだ・ひろかず)(58)、河瀬直美(51)各監督らに続く才能豊かな日本人監督として注目されてきた。濱口監督は2015年のロカルノ国際映画祭などで「ハッピーアワー」が主要賞を受賞。「寝ても覚めても」は18年のカンヌ国際映画祭でコンペ入りを果たした。また、昨年のベネチア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)を受賞した「スパイの妻」(黒沢監督)では脚本を共同で手掛けた。

 「偶然と想像」はタイトルの通り、偶然と想像をテーマにした短編3話からなるオムニバス形式。監督自身が脚本も執筆した。平凡な人生に偶然起こるドラマチックな出来事を会話劇で描く。出演は古川琴音(ことね)さんや渋川清彦さん、占部房子(うらべ・ふさこ)さんら。

 第1話は、親友が意識し始めた男性が別れた恋人と気づき、思案するモデルを主人公にした「魔法(よりもっと不確か)」。第2話は、芥川賞を受賞した大学教授と落第させられ逆恨みをする男子学生、同級生の女子学生の関係を描いた「扉は開けたままで」。第3話は、20年ぶりに再会した2人の女性の会話が次第にすれ違っていく「もう一度」。

 審査員は授賞理由を「普通なら対話や言葉が終わってしまう場面が、この映画では始まりにすぎない。あまりに深くまで到達するので見る者は驚き、困惑させられる。濱口監督が紡ぐ言葉は本質であり、音楽であり、素材だ」などと述べた。

 最高賞「金熊賞」にはラドゥ・ジュード監督のルーマニアなどの合作「バッド・ラック・バンギング・オア・ルーニー・ポルノ」が選ばれた。

 今年の同映画祭はコロナ禍のため、2回(3月、6月)に分けて実施。今月1日から行われ、コンペ部門に出品された15作品が過去、金熊賞(作品賞)を受賞した6人の監督により審査された。授賞式は6月に一般観客向けに上映会が開かれる「サマースペシャル」の期間中、観客も参席して行われる予定となっている。

 〈はまぐち・りゅうすけ〉 昭和53年川崎市生まれ。東京大卒業後、商業映画の助監督などを経て、東京芸術大大学院映像研究科に入る。平成20年、修了制作作品「PASSION」をサンセバスチャン国際映画祭に出品。東日本大震災の被災者をインタビューしたドキュメンタリー「なみのおと」「なみのこえ」などを共同監督した。

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