中国全人代 強い姿勢は「余裕のなさ」の表れ 阿古智子東大教授

東京大学の阿古智子教授
東京大学の阿古智子教授

 北京で5日開幕した中国の全国人民代表大会(全人代)をどう読むべきか。東京大の阿古智子教授(現代中国論)に聞いた。

 李克強首相が全人代の開幕にあたり、政府活動報告で「新型コロナウイルス対策で重要な戦略的成果を上げ、世界主要国で唯一プラス成長を実現した」と述べた。コロナ禍の収束後に中国が世界をリードするとの意思をアピールしたといえる。経済力や軍事力をつけた自信の表れでもある。

 一方、「一国二制度」を保障した香港で、中国が考える「愛国者」でなければ選挙に立候補できないとする制度改革など、締め付け強化も審議するという。

 だが、一連の強い姿勢は習近平政権が抱く危機感の裏返しではないか。政治的余裕のなさとみている。

 コロナ対策で中国の初期対応の遅さなど問題は明らか。しかも強権的な手法で隔離したり言論統制したりして感染拡大を押さえ込んだことを考えれば、中国の手法はもろ刃の剣だった。民主的に住民と意思疎通も図りながら防疫に成功した台湾とは対照的だ。

 海外では対中感情が悪化している。習政権はどこまで強硬な姿勢を見せるか判断に迷っている面もありそうだ。李氏は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加を「前向きに検討する」とし、国際ルールに関与していく姿勢をみせた。

 年に1度の全人代は中国が打ち出す政策のどこまでが額面通りか、どこまでがプロパガンダ(政治宣伝)か、真意を読み取る数少ない機会だ。香港やウイグルの問題、コロナ禍に加え、バイデン米政権誕生後で初の全人代を綿密に観察していかねばならない。(聞き手 河崎真澄)