関西経営者列伝

コンサス土井靖士社長「コロナ禍でステンレス製にニーズ」

「商社に入って世界中を飛び回ったり、外資系企業で外国人とミーティングしたりすれば、女の子にもてるんちゃうかという気持ちで入りました。自己管理、前向きさ、自分の意見が言える文化を学び、仕事に対するスタンスができたと思っています」

--印象に残った仕事は

「洗濯用洗剤の新製品『アリエール』をテスト販売することになり、入社1年目の新入社員26人を対象にコンテストがありました。2週間でどれぐらいの販売店に新製品を置いてもらえるかを競いました。私は誰よりも早く起きてたくさんの販売店を回り、1位になって表彰されました」

--父が創業したコンサスに入社した経緯は

「P&G入社3年目ごろ、先輩から最大手顧客の担当をしないかと東京転勤の打診を受けました。非常にうれしかったのですが、父に伝えると、『お前は、もうコンサスで働かへんねんな』と問われました。もし、東京に行くと、父を手伝うことは一生なくなるかもしれない。結婚を控えていたこともあり、人生のターニングポイントと考えてP&Gを退職し、父と一緒に働こうと決めました」

--コンサス入社後、さまざまな苦難を経験した

「大変なことは一つ一つ順番ではなく、一気にきます。リーマン・ショックで売り上げが減った上、急激な円高に伴ってリスク回避のためにやった為替予約で大損をし、その1年後には漏電による火事で工場が全焼しました。さらに、父に胆管がんが見つかり、東日本大震災にも見舞われました。そして社長に就任し、真正面から逃げることなく仕事に取り組んだことでお客さまの信頼を勝ち得て、今があると思っています」

--なぜ、頑張れたのか

「火事の後、多くの経営者仲間から『頑張ってや』と励まされたのですが、『これ以上、何を頑張ればええんや』との思いが強く、つらかったです。しかし、ある経営者から『良かったですね。火事で誰も亡くならず、けが人もなかったですね』と声を掛けられました。心がぱっと明るくなり、『自分は運が良い』と考え直し、頑張る原動力になりました」

--住吉大社(大阪市)で毎月最初の辰の日に参拝する「初辰(はったつ)まいり」を続けている