世界の論点

フェイスブック 豪で記事制限

同紙は、FBが利用者のニュース記事へのアクセスを一方的に止めたことを特に問題視している。「FBはフェイクニュース(偽情報)や陰謀論の拡大を助けている」と指摘。報道機関や企業、行政当局などの情報発信を妨げたことで、「誤報や誤解、分裂を助長するようなとっぴな主張を訂正する機会を奪った」と非難した。

同紙は記事使用料支払いを義務化した法律については、「(報道機関に)公正な価格を支払うことを保証するものであり、非常に合理的だ」と評価している。社説ではIT系巨大企業の強い影響力を制御するために「政府の監視と規制を必要としている」とも述べた。

地元紙デーリー・テレグラフ(電子版)も同様の主張だ。19日付の社説でFBの閲覧制限を取り上げた。昨年、豪州との関係悪化を受け、中国が豪州産大麦などに高関税を課したことに触れ、「中国は豪州に貿易障壁で打撃を与えた。そして今、FBは無差別的なページの閲覧制限で私たちを攻撃している」と批判。外国や外国企業の豪州への圧力という意味で中国と同列と断じた。(シンガポール 森浩)

□英国

■国家の法的介入拡大に懸念

FBに記事利用料の支払いを義務付ける法整備をめぐり、豪政府は同社と対立を深めた。英メディア(電子版)は、FBの一連の措置を批判する一方で、豪州側の対応にも「不備があった」などと言及。国家による法的介入の拡大を懸念する声も上がった。

欧州連合(EU)では2019年、巨大ITが各国メディアにニュースの適切な使用料を支払うことを盛り込んだ改正著作権法が成立した。英国でも1月、FBが新サービス「ニュース」を開始。米国以外では初めてで、枠組みに加わった一部報道機関に記事の対価を支払う。

記事利用料の支払いに前向きな姿勢を示すFBが、なぜ豪州では強硬姿勢に転じたのか。英BBC放送は「FBが欲しいのは主導権だ」と指摘。「各国政府がメディアへの支払いを命じ、価格まで決めるような事態をFBは避けたい」とし、「政府が(FBに)強気の姿勢を見せた場合、どんな結果を招くのか見せようとした」と解説した。

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