栃木県足利市の両崖山(りょうがいさん、251メートル)一帯の山林火災について市が1日、鎮圧したと発表したことに地元は「ひと安心」と歓迎する一方、過去に市内で発生した山林火災で完全鎮火まで状況が二転三転した経緯を知る住民からは「まだ不安」との声も漏れる。
鎮圧は鎮火の前段階で、市は「消防力が優位で延焼拡大がないと判断した」としている。
この日の会見で和泉聡市長は「人命と人家を守るという至上命題を果たし、大きな節目を迎えホッとした」と安堵(あんど)の様子を見せた。鎮火の判断は「降雨状況も含め、4、5日様子を見る必要がある」とした。
両崖山のある同市西宮町に住む同市自治会長連絡協議会長の石原栄さん(73)は「鎮圧となりひと安心で喜ばしい」と話し、「地域住民の不安が完全になくなるよう、一刻も早く鎮火になることを願っている」とした。
一方、平成26年4月、同市小俣町と隣接する群馬県桐生市にまたがる山林が延焼した火災では、小俣地区に出されていた避難勧告解除後、同じ日に再度勧告が出されたほか、鎮火宣言後に再び白煙が上がり消火活動が再開された経緯がある。小俣地区自治会連合会長の萩原晴夫さん(68)は「まだ鎮圧段階で、火種が残っていないか不安だ。小俣のこともあり、慎重に判断してもいいのでは」と話す。また両崖山に所有する山林が被災した自営業の松村和久さん(74)=足利市大門通=も「既に1週間以上燃えており、降雨後の状況を見てからでも遅くない」とした。
こうした過去の経緯も踏まえて和泉市長は「応援部隊を縮小するプロセスの中で、トリガー(引き金)として鎮圧(宣言)は必要だと思う」と説明した。
(川岸等)