マクラーレンがハイブリッドのスーパーカー「アルトゥーラ」を発表した。同社にとって3番目のハイブリッド車となるアルトゥーラは、電動化が加速するなかで、伝統的に内燃機関の愛好家が多い同社のユーザーからの支持が期待されている。
TEXT BY JEREMY WHITE
WIRED(UK)
マクラーレンは、いまのところすぐに完全な電動のハイパーカーを発売する予定はないようである。しかし、同社のエンジニアたちがハイブリッドのスーパーカー「アルトゥーラ(Artura)」の開発に勤しんできたのは明らかだろう。
アルトゥーラは厳密には「高性能なハイブリッド車」なので、完全な電気自動車(EV)を期待してはならない。だが、大方の予想通り、その性能は素晴らしい。3.0リッターV6ツインターボガソリンエンジンと電気モーター、バッテリーパックの組み合わせにより、680psと720Nmのトルクを実現している。
このうち585psは新型のエンジンが担っており、残りの出力を電気モーターが補うかたちになっている。この電気モーターだけでも、225Nmの瞬間最大トルクを実現している。
わかりやすく言い換えれば、価格が18万5%2C500ポンド(約2%2C700万円)のアルトゥーラは、時速0-100kmの加速にちょうど3秒、同0-200kmの加速に8.3秒、同0-300kmの加速に21.5秒かかる、ということなのだ。また、通常のツインターボV8エンジンを採用せず、パワートレインも通常のV8より40kgほど軽量化されたことにより、10.7秒で4分の1マイル(402m)というタイムを実現している。また最高時速は、205マイル(同328km)に制限されている。
マクラーレンは燃費がWLTP法に基づく測定で50マイル/ガロン(約21.25km/?)以上、二酸化炭素排出量は129g/kmを達成したと謳っている。完全な電気自動車と走行する場合は、7.4kWhのバッテリーにより最高時速81マイル(同130km)、最大30km(約18.6マイル)の走行が可能だ。そしてテスラ車と同じように、無線でソフトウェアのアップデートが可能になっている。
軽量化が奏功
アルトゥーラは、マクラーレンのもうひとつのスーパーカーである「720S」と並ぶ存在だが、最高峰のシリーズより下の位置づけとなる。一方で、プラットフォームのアーキテクチャー(新たなカーボンファイバー製の車体とハイブリッドパワートレインの全部品を含む)から内外装、ドライバーのインターフェイスに至るまで、あらゆる要素が新しくなっている。
ハイブリッド機構に加えてマクラーレンは、これまで以上にレスポンスが速いターボを開発した。電気モーターによるレスポンスと組み合わさることで、同社の非ハイブリッドモデルに比べてスロットルのレスポンスを2倍の鋭さに高めている。
バッテリーを搭載しているにもかかわらず、アルトゥーラの重量はわずか1%2C395kgだ。部品の削減も軽量化には寄与しており、電気の配線でさえも10%もスリム化されている。これにより、488PS/tという強大なパワーウェイトレシオを実現している。