新聞に喝!

森氏批判…メディアの「女性登用」は!? 元東京大学史料編纂所教授・酒井信彦

東京五輪・パラリンピック組織委の理事会と評議員会の合同懇談会で、あいさつする森喜朗会長。辞任を表明した=12日午後、東京都中央区(代表撮影)
東京五輪・パラリンピック組織委の理事会と評議員会の合同懇談会で、あいさつする森喜朗会長。辞任を表明した=12日午後、東京都中央区(代表撮影)

森喜朗元首相は2月3日の日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会での発言を問題にされて、とうとう11日、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の会長を辞任した。この事件に関連して私の頭に浮かんだのは、コロナ問題においてしきりに使われた、2つのキーワードである。それは「自粛警察」と、「同調圧力」に他ならない。

自粛警察は森氏追放事件にそのままでは当てはまらないが、森氏の言葉がやり玉に挙がったのだから、「言葉警察」と表現することができるだろう。この「言葉警察」あるいは「言葉狩り」は、歴史問題などで、ずっと以前からメディアによって行われてきた。そのために何人もの大臣らの首が飛んでおり、森氏自身も「神の国」発言によって、同じ運命にあっている。

もう一つの「同調圧力」の方は、今回の森氏追放事件にとても似つかわしい。メディア主導のキャンペーンによって、実に広範の人々が同調して、森氏への批判を展開したが、その中に各界の有力者まで含まれていたのは、まことに一驚であった。

また、これは最近あまり見かけない言葉なのだが、四文字熟語として「付和雷同」という言葉がある。『広辞苑』によれば、「自分に一定の見識がなく、ただ他の説にわけもなく賛成すること」とある。この言葉こそ、今回の事件を表現するのに、まことにピッタリといえるだろう。

ところで森氏が追放された根本的理由は、「女性蔑視」ということらしいが、2月10日の朝日新聞によると、前日9日に新聞労連、民放労連、出版労連、メディアで働く女性ネットワークの4団体が、厚生労働省で記者会見して、新聞協会、民放連など業界団体や加盟社に対して、女性役員を増やすように要請した。「新聞協会と民放連はいずれも女性役員がおらず、日本書籍出版協会と日本雑誌協会もほとんどいない」とある。