大学時代から練習の虫 日本新の鈴木「タイムにおごらず」  - 産経ニュース

メインコンテンツ

大学時代から練習の虫 日本新の鈴木「タイムにおごらず」 

日本新記録で優勝し、関係者と抱き合って喜ぶ鈴木健吾=28日、大津市の皇子山陸上競技場(代表撮影)
日本新記録で優勝し、関係者と抱き合って喜ぶ鈴木健吾=28日、大津市の皇子山陸上競技場(代表撮影)

 滋賀県での最後の開催となった28日の「びわ湖毎日マラソン」で25歳の鈴木健吾(富士通)が歴史を塗り替えた。琵琶湖畔の風をほおに受けながら、軽快なピッチで駆け抜け、2時間4分56秒の日本新記録で優勝。「タイムは正直考えていなかった」と笑顔を見せた。

 ゴール後は決して派手に喜ぶことはなく、レースを振り返る語り口も朴訥(ぼくとつ)だった。指導する富士通の福嶋正監督(56)は「継続してコツコツ練習するタイプ」。入社当初は故障でほとんど走れなかったが、腐ることなく、筋力トレーニングなどに打ち込んだ。

 愛媛・宇和島東高出身。神奈川大に進み、大学3年だった平成29年、東京箱根間往復大学駅伝の2区で区間賞を獲得した。大学時代から練習の虫で、合宿中に一人でジョギングに行ったまま、食事の時間にも帰ってこないことがあった。大学時代の恩師、大後(だいご)栄治監督(56)は「どこまで行ってるんだと心配になることもあった」と振り返るが、「練習量の多い選手こそ殻を破れる」と確信があった。

 本人も「箱根で区間賞を取ったころからマラソン選手になりたいと思っていた」と見据えていた。大学卒業を控えた30年の東京マラソンで初めて42・195キロを経験し、2時間10分21秒をマーク。実業団に入ってから、そのタイムを超えられずにいたが、5度目のマラソンで約5分半も縮め、大きく脱皮した。

 「試合や練習で、人前で涙を流すほど純粋なところもある」と周囲は話す。一気にトップランナーに駆け上がった25歳は「今までも華やかではないので、このタイムにおごらず頑張っていきたい」。最後まで謙虚な姿勢は崩さなかった。(丸山和郎)