コロナ禍で自転車需要増も…違反摘発も増加 神奈川で過去最多に 安全教育も減少

 ただ、条例には罰則がなく、保険の種類も多岐にわたることから「分かりづらい」との声もある。実際、「加入していない」「分からない」の合計は25・0%で、今後この割合をどう縮めていくかが課題だ。

安全教育は3分の1に

 事故を未然に防止するには、安全啓発活動が不可欠だ。しかし、神奈川県警交通総務課によると、コロナ禍に見舞われた昨年の自転車の安全教育は413回。令和元年は1326回で、3分の1以下に激減した。安全教育の多くは学校や事業所で行われるが、感染のリスクを避けるため開催機会が減っているという。

 同県警によると、昨年の自転車による違反の摘発件数は2092件。元年(1260件)の約1・7倍で、摘発件数が2千件を超えたのは昨年が初めてだ。同県警が取り締まりを強化したことも一因となっている。他方、昨年の自転車関連の事故は5027件で減少しつつあるが、死者数は12人でほぼ横ばいだった。

 同県警は安全教育の代わりに、会員制交流サイト(SNS)や動画の活用に重点をシフトしつつある。また、昨年12月には食事宅配サービスの大手「ウーバーイーツ」と県警が連携し、自転車やバイクを使う約60人の配達員に対して安全指導を行うなど、需要の高まりに即した活動にも力を入れる。

 同県警交通総務課の担当者は「自転車も乗れば車の仲間入りで、場合によっては自分が被害者にも加害者にもなる。コロナ禍で安全教育の面では多大な影響が出ているが、さまざまな方法で今後も交通安全の啓発と保険の推奨に努めたい」としている。

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