気候変動で「ヒートアイランド現象」が深刻化し、都市部の暑さが加速する:研究結果

ARNE DEDERT/PICTURE ALLIANCE/GETTY IMAGES
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 気候変動とヒートアイランド現象のダブルパンチで、2100年には世界の都市部の気温は平均4.4℃上昇する可能性がある--。そんな衝撃的な研究結果が、このほど発表された。将来的に世界人口の7割が都市に住むと予想されるなか、対抗策はあるのか。

TEXT BY TOM SIMONITE

TRANSLATION BY NORIKO ISHIGAKI

WIRED(US)

都会と田舎、どちらが住みやすいか? この主観的な議論でどちらを選ぶかはさておき、客観的な熱力学の原理によると、少なくともある面では都会が敗者となる。都市部のほうが、周辺の田園地帯と比較して耐えがたいほど暑くなりやすいのだ。

その原因は、都市部におけるヒートアイランド現象にある。建物や道路がたっぷり吸収した太陽光のエネルギーが夜間になって放出され、気温が高くなる現象だ。一方、田園地帯の緑は地表に影をつくり、水分を蒸発させて大気の温度を下げる。

高まる都市でのリスク

気候変動の影響により、世界の各都市でヒートアイランド現象は著しく進行し、悪化の一途をたどっている。このほど『Nature Climate Change』に掲載された論文では、最新のモデルを用いた分析により、2100年までに世界の都市部における気温は平均4.4℃上昇すると試算されている。

パリ協定では努力目標として「世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べて1.5℃に抑える努力を追及する」と設定しているが、今回の数字はそれをはるかに超えるものだ。パリ協定ではより現実的に実現すべき数字として、気温上昇を産業革命前に比べて2℃未満に押さえるという目標も掲げているが、都市部ではその2倍以上も高くなることになる。

これまで、世界の気候モデルは都市部にあまり目を向けてこなかった。地球全体から見れば都市の面積はごくわずかにすぎず、地球の地表のうち3%を占めるにとどまるからだ。それよりも、研究者らは海洋や氷、気流といった事象の動向のほうに関心を寄せている。

「わたしたちの研究はこの溝を埋め、都市部に特化した将来的な見通しを提示しているのです」と、今回の論文の筆頭著者でイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の気候科学者であるレイ・ジャオは言う。研究チームは、ほかにプリンストン大学やローレンス・バークレー国立研究所などの研究者からなる。

研究チームのモデルによると、高温に見舞われる都市は破壊的なダメージを受ける恐れがあるという。こうした都市で、すでに気温上昇の悪影響が出ているにもかかわらずだ。

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