気候変動で「ヒートアイランド現象」が深刻化し、都市部の暑さが加速する:研究結果

世界保健機関(WHO)の報告では、2000年から16年にかけて世界で熱波を体験した人は1億2%2C500万人と急増し、極度の高温による死者は1998年から2017年で16万6%2C000人にのぼるという。また論文の著者たちによると、現在は世界人口の半数ほどが都市部に暮らしているが、2050年にはその割合が7割に達することが見込まれているという。経済機会を求める人々は、そうとは知らず危険に身を投じていることになるのだ。

「こうした論文を読むと、人類はいったい何をしているんだと思わされるというのが正直な感想です。みなが異口同音に同じことを言っているのですから」と、ハワイ大学マノア校の気候科学者であるカミロ・モラは言う(モラは今回の研究には加わっていない)。

「いい加減にしてほしいですよね。いつになったら人々は本気でこの問題と向き合うつもりなのでしょう? この新しい研究も、ずっと鳴らされてきた警鐘を別の人が鳴らしているだけなんです。でもどういうわけか、わたしたちは耳を傾けることを拒んでいます」

ふたつのリスクのダブルパンチ

都市部の気温がどれだけ上昇するのか計算するにあたり、ジャオらのチームは都市部の気候に関する統計モデルを構築し、気温と湿度の変化に注目した。このふたつの要素は、相まって厳しい熱波をもたらす脅威だ。

人間の身体は気温が高いと汗を出して対処する。蒸発冷却と呼ばれる作用だ。ところが、湿度が高いとこの作用が効きにくくなる。空気中の水分量が多いほど、身体から出る汗はうまく蒸発して発散されづらくなるからだ。気温が同じでも、湿度が高いときのほうが不快に感じる理由もここにある。

高温多湿は不快なだけでなく危険でもある。ハワイ大学のモラは高温によって人が死に至るパターンを27種類も見つけ出している。人間には、高温環境で体温が上昇すると身体が反応して血液を臓器から皮膚へと集め、体熱を空気中へ放散しようとするはたらきがある(暑いと皮膚が赤みを帯びるのもこの作用からだ)。

そして、極度の高温下ではこのはたらきが破綻し、虚血状態に陥ったり、臓器への血流量が大幅に減少したりする。これが脳や心臓などの重要臓器に障害を起こす場合もある。さらに、高体温は細胞の破壊を引き起こす。多湿環境では発汗による冷却作用が弱まるので、過度の体温上昇や臓器の機能不全のリスクが高まるのだ。

極端な高温は健康な人にとっても有害であり、心臓疾患やぜんそくのような呼吸器疾患のある人には特に危険である。また、子どもたちも熱力学の観点で特有のリスクを抱える。身体が小さいがゆえに、体温の上昇も冷却も短時間で起きるからだ。

モラはこのメカニズムを学生に説明する際、じゃがいもの調理に例えるという。大きなじゃがいもは時間をかけて加熱しても、まだ中心に火が通っていない場合がある。同じ大きさでも、早く熱を通したければ半分に切ればいい。

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