浪速風

コロナの数字「刻舟」になっていないか

「刻舟」という言葉をご存じだろうか。中国古代の秦の宰相、呂不韋が自身の食客たちに共同編集させた『呂氏春秋』に出てくる。舟に乗っていて川の中に剣を落とした人が、慌てて落とした場所の目印を舟端に刻みつけ、水中の剣を探そうとした故事に由来する。四字熟語の「刻舟求剣」の方が一般的かもしれない

▶とっさに機転を利かせたように見えるが、舟は動いているので、舟端に刻んだ目印はまったく役に立たない。そこから、融通が利かないことや、時勢の移り変わりに気が付かないことのたとえとして用いられるようになった

▶新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言が、関西3府県で先行解除される見通しとなった。理由として、さまざまな数字が日々報じられているが、「刻舟」となっている指標はないだろうか。現実を反映していない目印に固執すると、大勢を誤りかねない。われわれもまた、数字に踊らされない賢さを身につける必要がある。