鑑賞眼

新国立劇場バレエ団「眠れる森の美女」 悪役カラボスに魅了

【鑑賞眼】新国立劇場バレエ団「眠れる森の美女」 悪役カラボスに魅了
【鑑賞眼】新国立劇場バレエ団「眠れる森の美女」 悪役カラボスに魅了
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 新国立劇場バレエ団(芸術監督・吉田都)がこのほど、「白鳥の湖」などチャイコフスキー作曲の3大バレエの中でも最高傑作とされる「眠れる森の美女」を上演した。今月21日のマチネー(昼の公演)はオーロラ姫を木村優里、デジレ王子を奥村康祐が演じた。

 舞台は主役級ダンサーたちがソリストとしてさまざまな役を演じる、ぜいたくなものとなった。フランスのブルボン王朝最盛期を築いた太陽王、ルイ14世の時代を想定して作られたバレエなので、舞台装置も豪華絢爛(けんらん)そのもの。

 振り付けは英国ロイヤル・バレエ団の元プリンシパル(最高位ダンサー)、ウエイン・イーグリングが平成26年に新国立劇場バレエ団のシーズン開幕作品として、マリウス・プティパ版を基に新制作したもの。

 イーグリング版の特徴の一つが、女装した男性ダンサーが演じることが多い悪の精「カラボス」(ディズニー映画では黒い服を着た魔女として登場)を、女性ダンサーがポワント(トゥシューズ)を履いて演じていること。そしてプロローグの冒頭、カラボスが天から降りてくる善の精「リラの精」と向き合い、善悪の対立軸を明確に示している点だ。

 妖精の数も一般的にはリラの精を含めて6人だが、イーグリング版には原曲にはない「気品の精」が加えられて総勢7人。よって、リラの精を中心に左右3人ずつシンメトリーに並ぶ美しいフォーメーションを可能にした。

 カラボスは回ごとにプリンシパルの本島美和、ファースト・ソリストの寺田亜沙子が交互に演じていた。カラボスは毒々しいクモの乗り物に乗り、手下を従えて登場。21日のマチネーは寺田が演じていたが、妖気を漂わせながら、洗礼式に招き忘れた式典長をボコボコにしたり、ほかの妖精たちをからかったり、そのヒール(悪役)っぽさが良かった。

 舞台に色を添える、こうした強烈なキャラクターを、各バレエダンサーがどう演じるかを毎回楽しみに見ている。幕あいにイーグリング版のカラボスは女優の米倉涼子が似合うかも、なんてあれこれ想像するのも楽しい。米倉はバレエ経験もあるし、もしそんなバレエ公演が実現できたら、話題性も手伝ってバレエ・ファン以外の人も劇場に足を運んでくれるかもしれない。