色あざやかなマカロン。日本でもその存在は広く知られるようになりました。マカロンと言っても、フランス全土にはさまざまなものがあるのをご存じでしょうか。
マカロンは、16世紀にイタリアのメディチ家からカトリーヌ・ド・メディシスがフランス王のアンリ2世にこし入れした際に伝えられました。もとの名はマカロニ。「生地」を意味する言葉が語源で、そのうち甘いお菓子をマカロンと呼ぶようになったのです。当時、肉食を禁じられていた修道女たちがこのお菓子に着目し、フランス各地の修道院で作られるようになります。マカロンは卵白、アーモンドパウダー、砂糖のみで作るシンプルなお菓子ですが、当時は移動もままならない時代。情報が行き渡らないうちに、各地で異なる製法、形状のマカロンが作られるようになりました。
フランスでマカロンが有名な地方は、ナンシー、アミアン、サンテミリオンなど。その地ごとに特徴があり、10種類は下りません。それらは一枚一枚バラバラに販売されています。皆さんの知るカラフルな2枚重ねのマカロンはパリのマカロンと呼ばれ、もともとは1枚ずつでしたが、焼いた後、天板と敷き紙の間に水を流してマカロンをはがす際、マカロンに湿気が残るのを利用し、2枚重ねて売られるようになりました。今日ではクリームをはさむリッチなマカロンとなり、フランスマカロンの頂点を極めています。
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おおもり・ゆきこ フランス菓子・料理研究家。「スイーツ甲子園」(主催・産経新聞社、特別協賛・貝印)アドバイザー