国内最大の草食獣、エゾシカが関係する交通事故が右肩上がりに増えている。北海道警が2月に公表した調査結果によると、令和2年は年間3511件発生し、過去最多を4年連続で更新した。エゾシカは北海道に生息し、本州のシカと比べて体が大きい。雄の成獣は体重が130キロにもなり、ぶつかると車が大きな損傷を被る恐れがある。もしも衝突したら、車の修理費はいくら?(寺田理恵)
目安は車両保険支払額
「エゾシカは急に飛び出します!」「交通ルールを知りません」。国土交通省や警察など関係機関が事故防止を呼びかける際、車の修理費の目安として使われる数字が車両保険の平均支払額だ。
車両保険は自分の車の修理費などが補償される保険。エゾシカなど野生動物との衝突のような単独事故をカバーするタイプもある。日本損害保険協会の北海道支部が1月29日に公表したエゾシカとの衝突事故に関する令和2年の調査結果によると、車両保険平均支払額は54・4万円だった。
調査は同支部が事故防止の啓発に役立てようと、エゾシカとの衝突事故が多発する10~11月を対象期間として、報告があった9社分を集計。修理費の多寡は車の損傷度合いに左右され、保険金支払額の最高は593万円、最低は9千円だった。
対象期間中のエゾシカとの衝突事故の車両保険支払件数は517件で、支払額の合計は2億8107万円に上った。
修理費高額化の傾向
調査は毎年10~12月に実施され、平均支払額は令和元年に51・4万円、平成30年に48・2万円と増加傾向がみられた。「最近は車にセンサーが搭載されるようになっている」(同支部)ため、修理費が高額になる傾向があるという。