ワールドは1年でリストラ2度 EC出遅れ響く老舗アパレル

 構造改革の効果で利益は改善する半面、「ユニクロ」などのファストファッションや「ZOZO」などインターネット通販の台頭で売り上げの伸び悩みは続いた。30年には資金を調達するため13年ぶりに東証1部へ再上場したものの、販売が上向くことはなく、コロナ禍もあり追加の構造改革に追い込まれた。

デジタル対応で遅れ

 アパレル業界をめぐっては、昨年5月に老舗メーカーのレナウンが民事再生法の適用を申請し、その後もスポンサーが見つからず破産開始が決定。負債総額は事業譲渡により当初の138億7900万円から減ったものの、最終的に93億6366億円に上った。オンワードや三陽商会も直近の決算で最終赤字を計上しており、いずれも百貨店や都市部店舗で客足が戻らない状態が続いていることが響いている。

 だが、業界の衰退はコロナの感染拡大以前から続いており、むしろコロナ禍で長年置き去りにされてきた「病巣」が一気に顕在化しただけだとの見方は強い。変化する消費者ニーズへの対応の遅れもコロナ禍で露呈した課題のひとつだ。最も遅れているのがデジタル化で、通販サイトやアプリを通じて購入する若者が増えているにも関わらず、百貨店やショッピングセンターなど実店舗依存の販売手法が主流になっている。

 ワールドの売り上げに対するEC(電子商取引)販売の比率は20%程度。経営破綻したレナウンに至ってはわずか3%ほどだった。ワールドは「ECでは年末年始に許容量を超えた発注が舞い込み、配送に2週間かかるなど大幅な出荷遅れが出た。商品もオフィスワーカー向けが多くてコロナ時代にマッチしておらず、急激な変化への対応が遅れている」と明かす。

在庫過剰の悪循環

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