「海警法は国際法違反」と発信求める与野党 政府は「運用次第」

21日に尖閣諸島(沖縄県石垣市)の領海に侵入したとされる中国海警局の船と同型の船(海上保安庁提供)
21日に尖閣諸島(沖縄県石垣市)の領海に侵入したとされる中国海警局の船と同型の船(海上保安庁提供)

 中国海警局に武器使用の権限を付与する海警法の施行を受け、政府は「問題のある規定を含む」(菅義偉首相)と懸念を深める。ただ、法律そのものが国際法に反するとの立場はとっていない。内容にあいまいな点が多く、中国の運用に左右される面が大きいためだ。与野党からは「国際法違反」と発信するよう求める声が強まっており、領域警備法の整備など、新たな対応を検討する動きも出ている。(石鍋圭)

 「国際法違反だと明確にいうことが大事だ」

 国民民主党の前原誠司元外相は17日の衆院予算委員会で、政府にこう迫った。首相は「わが国の強い懸念を中国にしっかり伝えたい」と述べるにとどめた。

 国連海洋法条約30条は、領海で沿岸国の法令を順守しない場合は「退去要請」を行うことができると規定する。一方、海警法22条は「武器使用を含むすべての必要な措置」が可能とし、対象も限定しない。前原氏はこうした点が国際法違反に当たると主張する。

 ただ、政府関係者は「海警法をただちに国際法違反と指摘するのは困難」と慎重な立場を崩さない。

 国連海洋法条約は「沿岸国は無害でない通航を防止するため、領海内で必要な措置をとれる」(25条)とも定める。海上保安庁の巡視船も、条件を満たせば外国公船などへの最小限度の武器使用ができる。外務省幹部は「この論点で中国を批判すれば海保の武器使用にも跳ね返る。海警法が国際法違反に当たるかは中国の運用次第だ」と語る。

 しかし、海警法に不透明な点が多いのは事実だ。「管轄海域」での武器使用や強制退去を可能とするが、具体的な範囲や要件は明確ではない。そもそも中国は1992年に制定した領海および接続水域法で尖閣諸島(沖縄県石垣市)を自国領土と位置づけ、領海侵入を繰り返す。既存の国内法や従来の行動と合わせて考えれば「尖閣周辺での運用」(自民党中堅)が念頭にあるのは明らかだ。