復興日本 東日本大震災10年

第2部 教訓(3)供給網、より多く太く

現在約40社で利用されている同システムはBCP管理機能を備え、平時に調達先の住所や納入品目、2次、3次とさかのぼった調達先の情報などが登録されている。災害が発生すると地図情報などから調査対象の調達先を抽出し、被災影響を電子メールで送信してもらい、サプライチェーンの組み替えといった対応につなげる。

担当する東芝デジタルソリューションズの岡本賢司部長は「被災影響の調査は以前は何日もかかっていたが、5年前の熊本地震では、約4時間半で東芝グループ内の調査を終了した」と説明する。「被害が大きくパソコンも動かせないような調達先には直接電話をかけるなど、並行して人手をかけるのが効果的ということも、この10年で分かってきた」とも語る。

生きたBCP重要

内閣府の調査によると、令和元年度で大企業の8割強、中規模企業の5割強がBCPを策定済み・策定中と回答するなど、サプライチェーン対策は日々進んでいる。その一方で、近年は列島を縦断するような大型台風など、東日本大震災より被害範囲が広域に及ぶ想定外の災害も増加している。新型コロナウイルス禍では全世界でサプライチェーンの寸断が発生した。すでに、BCPを形式的に作成するだけでは万能な備えとはいえない状況になってきている。

西日本豪雨の被災経験から地域防災に取り組む流通コンサルタントの金藤純子氏はこう警鐘を鳴らしている。

「企業防災には、パンデミック(世界的大流行)を考慮した備蓄、防災訓練の実施といった『生きたBCP』へのアップデートが重要だ」

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