メディア・リンチというべき、異常な森喜朗元総理(東京五輪組織委員会会長)たたき。
朝日、毎日は1面トップで報じ、社説で辞任を迫る。日刊スポーツなど、大見出しで連日1ページ以上。ワイドショー、ネット…。ひとりの人間をよくここまでたたけるものだ。
「女性がたくさん入っている会議は時間がかかる」
この発言のどこが女性蔑視なのか。しかも発言のごく一部の切り取り。
せめて『週刊新潮』(2月18日増大号)くらいは、この異常なメディア・リンチを批判してほしかったが、トップで「『森喜朗』の図太(ずぶと)い神経に障る『二人の女』」。
『週刊文春』(2月18日号)もトップで「東京五輪を壊す男 森喜朗『黒歴史』」。
要するに両誌ともこの機に乗じて、昔の話をムシ返しているだけ。
週3回の人工透析を受けながら、五輪のために献身してきた元総理に対する敬意も、おもんぱかりも微塵(みじん)もない。
今週の両誌には心底がっかりした。
『新潮』はそれでも、コロナに関しては冷静な報道を続けている。
「『市中感染をゼロにする』『無症状あぶり出しで隔離』 テレ朝『玉川徹』立民『枝野代表』がたわ言」
食の安全・安心財団の唐木英明理事長(東大名誉教授)が手厳しく批判。
〈「ゼロコロナに近いことをしたのが中国で、(中略)76日間、武漢を完全封鎖し、全員を家に閉じ込め、1日1回の買い物くらいしか行動を許さず、企業活動は全部止めた。(中略)市民のほぼ全員にPCR検査を行い、緊急に専門病院を作り、陽性者はすべて隔離した。日本には武漢の10倍以上人がいます。3~4カ月完全封鎖すればゼロに近づけられるでしょう」〉
中国ならいざ知らず、日本でそんなことができますか、という話だ。
『週刊ポスト』(2・19)が、ちゃっかり『文春』先週号のスクープを横取りして「小川彩佳『夫の不倫相手』120分告白 『電話で小川さんについてしまった嘘』」。
ま、どうでもいい話だけど。
(月刊『Hanada』編集長)