ハンドドライヤー禁止、幅の狭いアクリル板…その対策、意味ありますか? 専門家が提言する「真の感染防止」

 通勤時にも注意が必要だ。公共交通機関では定期的な消毒が行われているが、つり革の消毒後にウイルスが付着し、それを触った手で目をこすり感染するなどのリスクは、どれほど消毒頻度を上げても残る。

 堀教授は「公共交通機関の消毒は1日1回程度でやむを得ない。つり革やエレベーターのボタンなど、共有部分を触ったら、客が手指消毒を徹底すべきだ」と、自衛を奨励する。

無駄な対策も

 普及した感のある対策の中にも、無意味なものはあるという。

 たとえば、トイレにあるハンドドライヤーの使用禁止。そもそもハンドドライヤーは洗った後の手を乾かすもの。万一ウイルスが残存していてもごく少量で、トイレは一般に換気がよく、長居することも少ないためエアロゾルを吸い込んで感染する可能性は低い。ハンドドライヤーがクラスター(感染者集団)の原因になったという事例も報告されていないという。

 マスクを外したりコートを脱ぐ際なども神経質になる必要はない。医療現場ではマスクや防護服を脱ぐときは細心の注意を払うが、それはウイルスが大量に付着している可能性が高いため。今やほとんどの人がマスクをしており、一般の生活現場では「ウイルスがマスクやコートに大量に付着している可能性は低い」

 商店などの行列での人との間隔を取ることも、堀教授は「マスクを着用し、会話をしないのであればそこまで神経質になる必要はない」と指摘する。2メートルという数字は、マスクをしないときに飛沫が飛ぶ距離を基準としているからだ。

 ただ、店の入り口によく置いてある手指の消毒液は大事だ。部屋に入るとき、出るときの両方で無理なく消毒できるよう、ドアの付近で人の動線上に配置するのがポイントとなる。

家族間は困難

 一方で難しいのは、人と同居している際の対策だ。堀教授は「家庭内感染を防ぐのはプロでなければ極めて困難」といい、家族が感染した場合、施設での療養を強く勧める。一つの住居を複数人が使うシェアハウスも「感染リスクもシェアする覚悟が必要」とする。

 やむを得ず同居する場合は感染者の部屋と家族の居室に分け、トイレや風呂などの共用部を出入りする際はマスクを必ず着用して手指の消毒も徹底する。リネン類の共有も厳禁だ。

 保育園や幼稚園など幼い子供のいる施設も困難だ。堀教授は「子供同士は接触の機会が多く、小学校低学年以下にはルールを順守させることが難しい」とする。今のところ子供は重症化リスクも低いが、ウイルスが変異した場合、こうした幼児間での感染リスク低減が課題となるとする。

国民が学ぶ必要

 政府は感染リスクが高まる場面として、これまでの知見をもとに「5つの場面」を選定、周知を図っている。堀教授は、こうした的を絞った対策は「効率がいい」と評価する一方、「対策とセットになっていない」とも指摘。5つの場面に対応した「5つの対策」を提言する。

 10都府県の緊急事態宣言解除が見送られるなど、長期化しているコロナとの戦い。堀教授は「昨年と違い、対策の急所はわかってきた。新しい生活様式を実践すれば、増加ペースは遅らせることができる。きちんと国民が学ばないと、宣言を解除した後からまた増えていく」と訴えている。