【深層リポート】岩手発 台風洪水から70年超 完成見えた「一関遊水地」 (2/2ページ) - 産経ニュース

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深層リポート

岩手発 台風洪水から70年超 完成見えた「一関遊水地」 

地権者と個別契約へ

 昨年12月、地権者団体と国との間で地役権補償協定が結ばれ、2020年代前半にも事業が完成する見通しとなった。

 一関遊水地は、国が土地を買い取らずに利用する権利を得る「地役権」を設定した。通常は地権者が水田などの農地に利用するが、大洪水時には流水をため洪水を調整する。このため遊水地内には建物を建てられないなどの利用制限を設け、利用価値が下がる分を土地評価額の3割で地権者に補償する。この協定調印によって国は、法定相続人を含め約3500人になる個々の地権者と個別の契約ができようになった。

 国土交通省の岩手河川国道事務所の用地担当の山内信洋副所長は「すでに第3遊水地の契約会がスタートし、令和3年度には第2、第1の遊水地の契約会を開ける見通しになった。早期の契約完了を目指したい」と話す。河川担当の渡辺敏彦副所長も「残る水門周りの小堤接続部分の工事も来年度に完成する見込み。最近は記録的な豪雨も多く、被害を最小限にとどめるため1日も早い完成を目指したい」としている。

遊水地】 大雨などで川の水が急に増えたとき、その一部をためて、下流に流す水量を減らす役割をもっている。日本で最大の遊水地して知られるのが利根川上流の茨城、栃木、群馬、埼玉の4県にまたがる「渡良瀬遊水地」で、広さは33平方キロ。一関遊水地の2倍以上の広さだ。ただ、地役権を設定した遊水地としては「一関遊水地」が日本最大の規模となる

記者の独り言】 昨年12月に一関遊水地の地役権補償協定書調印式の案内を見た瞬間、「えっ、まだ続いているの」と驚いた。実は28年前の平成4年に一関遊水地周囲堤締切式を取材していたからだ。26年から3度目の盛岡支局勤務となり、現地の真新しいバイパス道などを目にして、てっきり事業は完了しているものとばかり思っていた。一関遊水地が歴史的な事業であることを改めて実感した。(石田征広)